Hen Eye Watch Vol.7 =BREITLING トランスオーシャン・クロノグラフ=
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偏愛、変愛、偏eye(目)、変eye(目)
時計に対する愛情が故の偏った目線からの独断と偏見での時計トーク。
マニアックな部分もありますが愛ゆえの・・・ということでお許しを・・・
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こんにちは。4月13日の今日は『決闘の日』だそうです。
私は日々常に自身の物欲と決闘をしております。
さてそんな今日も物欲(時計欲)が収まらない飯田がご紹介する本日の時計はコチラ
トランスオーシャン・クロノグラフ
最近購入したばかりの一番新しい時計。
『海の向こう側』、『海を越えて』という意味合いのあるTRANS OCEAN。名前の由来は50年代に大型旅客機が運航するようになり、空を旅する人たち用に作られた時計が原型となっているからだ。
実はこの時計、凄く凄く気に入っている。購入するに至ったことのきっかけはブライトリングの自社ムーブメントモデルが欲しい!と思ったからである(社内的にも自社ムーブ搭載モデルを所有するブームみたいなのがあった・・・)。
でも、自社ムーブ搭載モデルと言っても色々あるわけで、それこそブライトリングの代表モデルならナビタイマー01とクロノマット44があるわけで、その2モデルを差し置いてなえトランスオーシャンにしたのか?
ちなみに最初はナビタイマー01かクロノマット44で悩んでいた。公言しているが私は大のクロノマット好きだ。以前にもこの連載でも紹介したがクロノマットが本当に好きなのだ。しかし、自分の中でクロノマットはクロノマット・エボリューションで完結しており、クロノマット44がエボリューションを超えられるか?と考えたら、自分の中では超えられなかったのである(今後超える可能性はなくはないが)。自分のクロノマットコレクションの中の1つとしてクロノマット44は確かに欲しいが、そんなコレクションの1つとして購入するには決定打が見つけられなかった。
一方、ナビタイマー01はかなり良いところまで行った。やはりブライトリングの顔であり
歴史を象徴するモデルはナビタイマー。個人的にはナビタイマーと言ったら60年代のセカンドモデルが一番カッコいいと思っていたのだが、考えようによってはナビタイマー01もいいではないか、と思うようになっていた。しかし、どうしても自分の中では所有しているコスモノートの方がカッコよく思えてしまい、決定打に欠けていました。
そんな時に急浮上してきたのが、このトランスオーシャン・クロノグラフなのである。現行モデルは2011年に発表されたモデル。1960年代のトップタイムの復刻版である。発表された当初はブライトリングとしては珍しくクラシカルな時計で興味を惹かれた、と同時に『プロの為の計器』を標榜とするブライトリングとしては、ちょっと違うモデルなんじゃない?とも思ったのを覚えている。
また、ブライトリングの自社ムーブメントモデルを購入するなら、やはりブライトリングを代表するデザインであり、モデルが良いと思っていた。その点から言うとトランスオーシャンのデザインはどこか他にも似たようなデザインの時計はあるようで、『ブライトリングらしさ』があるような時計ではないと思っていた。
それが、なぜ興味を持って購入にまで至ったのかと言うと、『クロノグラフの一番美しく、洗練されたデザイン』だと思うようになったからである。
洋服でイメージしてもらいたい。
洋服の世界は色んなブランドがあって、色んなブランドがそのブランドらしさを打ち出すような個性的なデザインの服を出している。
しかし、一方でそのような色んな個性があるブランドでも、『スーツ』に関して言えば、どのブランドが作っても、誰が見ても『スーツ』の形をしているのである。中には奇抜で個性的なデザインのスーツもあるが、それは一過性のデザインで、消えてなくなるデザインだ。ずっと昔から作られてきている『スーツ』というものは、どこのブランドが作っても『スーツ』のデザインになるのだ。ただ、生地や細かなディテール、仕立ての違いでブランドの個性が出てくる。
時計も一緒だと思った。
『クロノグラフ』という腕時計のデザインやバランスを究極に突き詰めていったらどこのブランドが作っても同じようなデザインになるのだろうな、と。
実際、60年代前後のクロノグラフは各ブランド似たようなデザインのものがある。
TAGHeuerの復刻のカレラなんかは↑のようなデザインだし
ZENITHでは13年くらい前までは↑このようなクロノグラフを作っていた。
OMEGAのアンティークでもクロノグラフは同じようなデザインだし、
ROLEXだって似たようなデザインを作っていた。
このようにクロノグラフ機能付と言ったらどこが作っても究極は同じようなデザインになるのだと思う。
その中で細部での拘りを出して他ブランドとの差別化をしてきていたのだ。
しかし、90年代以降になると各ブランドとも他ブランドとの差別化を図るあまり、個性的なデザインのクロノグラフが多くなった。
そのようなことを考えているうちにトランスオーシャン・クロノグラフが非常にカッコよく思えてきたのだ。どうやら私は長年ブライトリングを販売してきたせいで『ブライトリングと言ったらクロノマットかナビタイマー』という先入観に支配されていたようだ。もちろんナビタイマー、クロノマットが×なのではない。絶対的な魅力のあるモデルである。ただ、今の自分にとってはその2モデルこそが『ブライトリングの真髄』という価値観は必要なかったのだ。
そう思えるようになったら、割と簡単にトランスオーシャン・クロノの購入を決定することができた。
そして実際、着用するようになってみて思ったが、本当に良い時計である。
気に入っている点は
■文字盤の端が丸まっている
■3分刻みのタイマーメモリがある
■ミラネーゼブレス(メッシュブレス)
■Bのロゴマーク
以上がある。文字盤の丸みはアンティークの時計などにもよくあるディテールだ。クラシカルなデザインのこの時計をよりクラシカルに感じさせるのに一役かっている。
また、クロノグラフの30分計のメモリは3分置きに長くなっている。これは50年代当時、電話の課金が3分単位だった為、それを測ることが出来るよう考えられたメモリだ。正に空を旅するビジネスマン向けの機能の1つと言える。
メッシュブレスは最近、他社も多く出してきているが、近年最初に復刻したのが2007年に発表のあったブライトリングのスーパーオーシャン・ヘリテージだ。時計本体と同じで現代は『ブランドらしさ』を出す為に、多くのブランドがブランド特有のデザインされたブレスレットを出している。しかし、このメッシュのミラネーゼブレスはブランドの『個』を感じさせない、永遠不滅の定番ブレスだと思う。人気の浮き沈みのあるデザインであるとは思うし、このデザインを『古臭い』と毛嫌いする若者がいることも承知している。しかしだ、私にとってはメガネのボストンタイプと同じくらい不滅さを感じさせてくれるデザインだ。
最後に『B』マークだ。1979年に経営がウィリー・ブライトリングからアーネスト・シュナイダーに移行し、新生ブライトリングのロゴマークとして誕生したのが現在も使われている翼マークがついたロゴだ。Bだけのシンプルなこのロゴは40年代から使われてきてる伝統のマークであり、ブライトリングの原点である。翼のマークの方が若者からは人気があるのも充分知っている。しかし、原点を感じさせてくれるからこそ、この時計にはこのマークが相応しい。
それ以外にも気に入っているところはキノコ型のプッシュボタン、ラグを溶接で取り付けたような切込みを入れているところなど細かいことをあげたらキリが無い。以前、裏スケは実用性を考えたら時計としては必要ないと話をしたが、この時計の場合は飛行機で旅をする人用であると考えたら裏スケでもありだと思っている。
そんなこの時計の気になる点は・・・
やはりカレンダーかな。4時方向の日付表示はどうも好きになれない。日付は無いほうがいいと思ってしまう。しかし、あくまでもデザイン的にだ。ただ感覚的には4時方向にあってもそんなに気にならないのが実際のところだ。どうしても頭で考えてしまうと斜めにカレンダーがあるのを嫌だと思ってしまう。
だが、この時計の原型が生まれた背景を考えるとまた違う気持ちになる。元が飛行機に乗るビジネスマンなどを対象としていた時計であり、デイリーユースに便利な時計でなくてはならない。そう考えると、カレンダーがあることは非常に便利だし、どの時間帯に早送りをしても大丈夫というのも嬉しい。また3日間のパワーリザーブを備えているのも意外と便利である。
偉大なクラシックとは大きな波紋をたてるような衝撃はないが、ジンワリと心に浸透してくるような低周波の波紋がある。この時計にはそのような低周波の波紋を起こす魅力が詰まっている。
うん。カッコいい^^
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