ナビタイマー進化論Vol.4
こんにちは。
スリーク新潟の飯田です。
気がつけばもう第4回目。
5~6回をめどに考えているのですが、ちゃんと着地できるのか少し不安ですが今回もまたお付き合いください!
今年発表のあったナビタイマー8。
このナビタイマー8が誕生する背景、ナビタイマーとは一体何なのか?
ナビタイマーの歴史を振り返りながら何回かに分けてお伝えしていきたいと思います。
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オールド・ナビタイマーの熟成
前回、90年代のナビタイマーまでご紹介しました。
↓↓↓↓
ウィリー・ブライトリングからアーネスト・シュナイダーへ経営が引き継がれ、
経営危機に瀕していたブライトリングも見事蘇り、90年代には現在へとつながる大きな礎を築いてきたと言えます。
その90年代~現在にかけてキーマンとなった人が
アーネスト・シュナイダーの息子、、、
セオドア・シュナイダーさんです。
彼は1994年に父親の跡を引き継ぎ、ブライトリングCEOとなります。
1956年7月7日生まれ(私と一緒!)の彼は若干37歳の若さでの就任でした。
その彼が指揮をとって前回ご紹介したような多様なナビタイマーが開発されていきます。
そして、大きな変化をもたらすのが1999年に発表した【100%クロノメーター宣言】でした。
生産する時計のすべてをクロノメーター認定を受けると言うのです!
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【クロノメーター】
スイスのクロノメーター協会にて15日間に渡ってムーブメントの精度検査をする。
5つの姿勢差、3つの温度差で検査を行い日差+6秒~-4秒の範囲の
ムーブメントに与えられる認定証
スイスでの時計総生産数の8%程度しか合格していない認定
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かつて、これだけの工業的規模での時計生産をしているメーカーが全製品、クロノメーター認定を受けてきたことはありませんでした。
なぜなら、クロノメーターの試験に落ちたらそのムーブメントをまた1から調整していかなければならないからです。
通常の時計メーカーは一部のモデルをクロノメーター認定モデルとして展開します。
それは、クロノメーターに受からなかったムーブメントは他のモデルに搭載すれば済むからです。
この100%クロノメーター宣言をしたことによって
生産体制の見直し、品質や技術力の向上などあらゆる面が進化しました。
もちろんオールド・ナビタイマーもクロノメーターを取得していきました・・・・
上:クロノメーター取得前のオールド・ナビタイマーの裏蓋
下:クロノメーター取得後のオールド・ナビタイマーの裏蓋
このように、外観は基本的に変わらずとも中身(機械)の進化をオールド・ナビタイマーはしていくのです。
そして、以前紹介したブライトリング ファイターズ。
この活動は2003年まで続くのですが
この活動を記念した特別モデルが当時は出ていました。
↑ブライトリング ナビタイマー ファイターズ。
ケースやブレスはサテン仕上げ
風防はクラシカルさを出す為にミネラルクリスタルを使用
文字盤中央には特別バージョンという事を示すSERIE SPECIALEの文字が。
こうして、85年に誕生(自動巻きの縦目は86年から)したオールド・ナビタイマーは20年近くの年数をかけて
熟成の領域へと達成していきました。
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ザ・ナビタイマー
ちなみにざっくりですが、セオドア・シュナイダーが社長になってからのナビタイマーは
90年代のナビタイマーはバリエーションの構築(模索)
2000年代のナビタイマーは品質の向上
2010年代は機能性の向上
を目指してきたように感じます。
熟成したオールド・ナビタイマー。
ブライトリングの次なる一手は2003年に起こります。
Ref.A2332(A232B35NP)
2003年にオールド・ナビタイマーはさらに進化します。
その名も【ナビタイマー】。
名前から『オールド』が取れて、以前と同じ『ナビタイマー』に。
ベースのムーブメントもバルジュー7750から7753へと変更したことによって
60年代のナビタイマーと同じような横目のインダイヤル(下三つ目)の配列となりました。
ちなみに、2003年にこのモデルが発表された時、日本の雑誌等では『ザ・ナビタイマー』と紹介されたのは
今となっては内輪での良い想い出話となっています、、、、
ここに来て、近代ナビタイマーのある種の完成系に到達したと当時は思いました。
スタイルは往年の下三つ目。
機械はクロノメーター仕様の自動巻きバルジュー7753がベース。
ただ、カレンダーの早送りが少々面倒な仕様だったのがファンの間からは少し不満が漏れていたのも事実・・・・
(時間を20時⇒0時へ早送りしてカレンダーを切り替える。また0時⇒20時へ時間を戻して、再度0時まで早送り、この繰り返し)
ナビタイマーの進化はまだまだ止まらないのです。
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01誕生
そんな状況の中、ブライトリングは2009年に初の自社開発のムーブメント『キャリバー01』を発表します。
5年の歳月をかけて完成させたこのムーブメント。
まずは最初にクロノマットに搭載されました。
このキャリバー01の魅力は以前書きましたのでどうぞコチラを一読ください⇒『BREITLING キャリバー01の魅力』
特徴を羅列すると
◆70時間以上のパワーリザーブ⇒一般的には40時間程度が多い
◆24時間カレンダー早送り可能⇒一般的には20時~3時の間は禁止
◆垂直クラッチ⇒クロノグラフを作動しても精度が安定。針飛びがない
◆コラムホイール⇒押し心地がよい
など、他にもあるのですが
それでも、私が一番この機械の魅力を言うとしたら”メンテナンス性の高さ”です。
Ref.AB012012(A022B01NP)
そして、ついに2011年!!
ナビタイマーに『キャリバー01』を搭載したモデルが出ます!!!
名称も『ナビタイマー01』となりました。
以前のモデルと比較すると
翼マークのロゴがプリントからプレートへと進化
さらに、視認性も考慮されて、クロノグラフの秒針が赤色に進化!
これにて、
ある種の究極のナビタイマーが完成した!
と私は思っています。
52年から続いたナビタイマーは常にブランドの代表モデルであり、その最先端の技術を投入しながらブランドのアイコン的存在で進んできました。
しかし、このキャリバー01を搭載したモデルにてこれ以上の進化はあるのか??
案の定、これ以降のナビタイマーはこの01をベースにして
サイズの大きくなった46㎜を発表したり
文字盤の色合いを変えて限定モデルを出したり
そのような対応になっていました。
01に代わる新たな基幹ムーブメントが開発されたら別かもしれませんが、そんな簡単に出てくるものでもないでしょうし。。。。
2000年代に入って、技術・品質の向上を課せられてきたナビタイマー。
その行く先は??
2017年に発表されたラトラパンテはそのような意味では野心的であり、面白さはありました。
今まで一般的な認識でいくとラトラパンテ機構が搭載されると値段は2倍程度になるという複雑な機構。。。。
(ラトラパンテ=ラップタイムの計測が出来るクロノグラフ)
しかし、このラトラパンテは通常のナビタイマー01より38万円プラスでしかないのです。
価格だけでなくこのラトラパンテは通常のラトラパンテとは違う構造上の凄さがあるのですが、今回は割愛。
ただ、それだけ魅力的なモデルを出しても、やはり根幹にあるのが2011年発表のナビタイマー01なのである。
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と、今回はここまで。
そうです。このある意味成熟?完熟?しきったナビタイマー。
このように完成されたものに下手に手を加えると完熟しているので腐ってしまう恐れもあります。
かの、ドイツの時計ブランド『SINN』の創設者でパイロットであったヘルムート・ジン氏も言っていました
ナビタイマーは『デザインは完璧であり、手を入れる余地がない』と。
また、銀河鉄道999などで有名な松本零士氏は
『わけがわからない複雑さで、いつまで経っても飽きない、機械としての面白さがある。それでいて、無駄を省いた機能性はまさに感動的なクロノグラフである。空をとびたくなる衝動に駆られるから不思議だ。史上、最も華麗な腕時計だと私は信じている』
と、言っている。
機械の進化が無くては、この先のナビタイマーの進化は???
その答えを次回、書いていきたいと思います!!
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