【Time is Life】Vol.2 ~モノづくりに欠かせないもの~
スリーク飯田の不定期連載コラム
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職人魂とは?
唐突だが金物と言ったら燕・三条、そんな風に感じるのと同じように、時計と言ったらスイスと思う人も多いのではないだろうか。
ちなみにスイスはどこにあるかご存知だろうか。
イタリア、フランス、ドイツに囲まれた小さな国だ。
日本の九州と同じくらいの面積に人口は約850万人。神奈川や大阪よりも人口が少ない。
そんな国に大小合わせれば500以上の時計ブランドがあるとも言われている。
本当かどうか真偽は確かめていないが、スイス国民の3分の1は何かしら時計に関係する仕事をしているとも言われている。
この国にとって時計とは国を挙げた産業であるのだ。
それでは何故、スイスで時計産業が発展したかのか?
元はフランスで起きた宗教戦争が発端である。
永い歴史の中で徐々に教会が力を付けていったカトリック(旧教)に対して聖書の教えの方が大事じゃないか?と異を唱えたのがプロテスタント(新教)であった。
プロテスタントにもルター派やカルヴァン派などがあったのだが、多くの商工業者から支持を集めていたのがカルヴァンである。
彼らはユグノーと呼ばれており、やがて宗教戦争にまで発展していった。
1562年から始まったユグノー戦争と呼ばれるその戦争でカルヴァン派は弾圧され、フランスから追いやられることとなる。
そしてカルヴァンの本拠地であるジュネーブに多くの支持者が移り住んでいった。
もともとジュネーブは彫金やエナメル細工などの豪華で華美な宝飾細工が盛んな町であった。
そこに時計技術をもったユグノーの多くが移り住むようになり、宝飾と時計が融合した技術が生まれていくようになったのだ。
私がその昔、初めてスイスに訪れた時に「スイス人にとって時計とは何だ?」と聞いたことがある。
その時の答えは「パッション(情熱)」だった。
また、あるブランドの責任者はこう言った
「私達が大事にするのは2Pだ。PROFESSIONAL(プロフェッショナル)とPASSION(パッション)のPだ」と。
プロとしての技術的なクオリティはもちろんのこと、それを造る上での情熱は欠かせないというのだ。
どんなに技術的に優れていても、そこに作り手のパッションが無ければ本当の意味での良いモノづくりはできないのではないだろうか。
逆に言えば後世に語り継がれ、生き残っていくようなモデルは作り手の想いや情熱があって誕生したものであり、それを受け継ぐ人達もまた想いと情熱を持って作り続けているような時計だ。
日本には未だ職人気質、職人魂という言葉が残っている産業がある。
三条の作業工具や燕の金属洋食器などもそうだろう。
歴史と伝統、そして職人の技術と熱い情熱。それらに支えらて今日まで町を支える大きな産業として受け継がれてきたのではなかろうか。
時計を通して自分達の生まれた土地の歴史にも思いを馳せてみるのもまた一興ではなかろうか。
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ピックアップモデル
BREITLING
クロノマット ブラックローマンMOP
日本限定500本
1,100,000円+税
ブライトリングのステンレススチールは316Lである。
耐久性や耐腐食性、耐磁性を追求して考えられた結果である。
現在のスイスブランドの多くは316Lを使っているが、ブライトリングが拘っているのが冷間鍛造によるプレス作業である。
冷間と言っても素材を冷やすわけではなく、熱して叩く『熱間鍛造』に対しての用語であり、
つまり常温で行われる鍛造のことである。
これを150~170トンの圧力をかけて約15回程度のスタンピングを行う。
このプレス工程をひとつ経るごとに1000℃で20分間の熱処理を行う。
これは圧力を掛けることで素材が硬化する為、柔らかく戻す為の作業である。
鍛造は金型を作るコストが掛かる為、昨今では鍛造ではなくコンピュータ制御のマシンで金属を削りだす『切削』で成型していくブランドが多くなっている。
小ロットで様々な型のケースを造れるので多種多様なモデルが多くなっている今らしい手法である。
しかし、ブライトリングは全てのモデルを鍛造で作っている。
なぜならば鉄にはメタルフロー(鍛流線)というものがある。
これは樹木の年輪のような金属にある筋目なのだが、鍛造ではこの筋目を残したまま成型されていきより強度の高い素材となっていく。
こうして作られたブライトリングのケースは職人の手作業により研磨され磨き上げられた美しい仕上げとなっていく。
ブライトリングは鏡のように光沢のある鏡面仕上げ(いわゆるポリッシング)を行ているが、
これは鍛造で作っているからこそ鏡面仕上げした際の映り込む姿に歪みがなく美しい物となるのだ。
中身だけでなく、こうした外装部分にも職人魂が垣間見えるのが時計である。
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