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ブライトリング・クロノマットの魅力を徹底解説【CHRONOMAT】The History and Evolution and Reinterpretaition of the Breitling Chronomat

こんにちは。スリークの飯田です。

久々に長々と書いちゃいました。ご興味のある方はどうぞ。

 

~もくじ~

■はじめに

■クロノマットの誕生背景

■クロノマットのアイデンティティ

■世代別クロノマット

 1.第1世代

 2.第2世代

 3.第3世代

 4.第4世代

■クロノマットのムーブメント

 1.ETA バルジュー7750

 2.Cal.13

 3.Cal.B01

■歴代デザイナー

 1.アーネスト・シュナイダー

 2.エディ・ショッフェル

 3.シルヴァン・バーネロン

■現在購入できるおススメのクロノマット

 1.クロノマットJSP

 2.クロノマットJSP ローマンインデックス リミテッド

 3.クロノマットJSP ローマンインデックス ブラック マザー オブ パール

 4.クロノマットB01 42 ジャパン エディション

 5.クロノマットB01 42

■装着インプレッション

■まとめ

■おまけ~歴代フレッチェ・トリコローリ モデル~

 

 

 

■はじめに

ナビタイマーと並びブライトリングを代表するモデルの1つ”クロノマット”

このモデルがなぜここまで人気の高いモデルとなったのか?

今回はそれを紐解いていきたいと思います。

 

まず、最初に結論から述べると、クロノマットの魅力は高い実用性能を持ちながらもファッション性が高いところだと思います。

 

現在では実用性とファッション性、この2つの要素を取り入れた時計は数多くあります。

人気なところで言うといわゆる『ラグジュアリースポーツ』と言われるようなカテゴリーのモデルでしょうか。

かのジェラルド・ジェンタ氏がデザインを手がけたロイヤル・オークやノーチラスなどは高いファッション性と実用性を兼ね備えたモデルだと思います。

これらの時計はオン・オフ使いこなせるデザイン性の高さと実用性で、ある種の万能時計という見かたをされていますし、それは間違いではないと思います。

しかし、これらはデザインありきのモデルです。そこに日常生活において利便的な実用性を与えたモデルではあるのですが、何かしらのプロ仕様のスペックは持ち合わせていません。

 

一方、実用時計として誕生したものの現在もファッション性の高さが評価され人気が続くモデルも多くあります。

サブマリーナやスピードマスター、同じブライトリングのナビタイマーなどは代表的なモデルではないでしょうか。

これらは50年代に誕生したモデルであり、実用時計といった物に対して現在のようにファッション性を求めらていない時代に誕生したモデルです。

純然たる機能美を備えたモデルであり、不朽の名作と言われるモデルたちです。

 

クロノマットがこれらの時計と一線を画すのはあくまでも”基本はプロ仕様”としてつくられながらも、そこに意図してファッション性を盛り込んだモデルだったことだと思います。

 

現在では他の時計でもこのようなコンセプトで作られている時計はあるように感じるかもしれませんが

クロノマットが誕生した1980年代前半においては稀有なコンセプトだったと思います。

 

また、実際このようなコンセプトで作られているモデルでも実際に軍隊やチームに制式採用された時計というのは限られています。

 

■クロノマットの誕生背景

 

初代クロノマットは1983年にイタリア空軍のエアロバティックチーム”フレッチェ・トリコローリ”の為に開発されました。

デザインしたのはアーネスト・シュナイダー。三代目ウィリー・ブライトリングから経営を引き継いだ社長です。

1979年にブライトリング社を引き継いだアーネスト・シュナイダーが一番最初に手掛けることとなったのがクロノマットの開発でした。

 

時代はクォーツ時計が全盛の時、ブライトリング自体の経営も厳しい状況でした。

シュナイダーが新生ブライトリングを立て直すのに考えたのが

 

・ブライトリングの伝統を精神を受け継ぐ機械式時計⇒ナビタイマー

 

・まったく新しいパイロットの為の機械式時計⇒クロノマット

 

・最新のエレクトロニクス技術を活かしたパイロットウオッチ⇒エアロスペース

 

この三本柱でした。

その中で最初に着手したのが今までにない全く新しいパイロットウオッチ”クロノマット”の開発でした。

ちょうどこの時期、フレッチェ・トリコローリが公式時計を公募していたのです。

アーネスト・シュナイダーはそれに向けて開発を急ぎました。デザインを手がけたのは彼自身でした。

実際にイタリアまで足を運び、パイロットたちが時計に対してどのような要望を持っているのかヒアリングを繰り返しました。

その結果、100種類以上のプロトタイプを作り、最終的にコンペに勝ち、フレッチェ・トリコローリに採用されることとなりました。

 

ちなみにこのコンペには多くのスイスメーカーが既存の時計を提出してきたそうです。

全く新しい時計をこの為に開発したのはブライトリングだけ。しかも100種類以上のプロトタイプを作ったり相当なコストをかけました。

イタリア空軍の担当官はシュナイダーにこう言ったそうです。『精度や耐久性などの基本スペックをはじめ、視認性や操作性なども他のクロノグラフを圧倒するほどの素晴らしい出来です。そして何よりデザインがいい』と。そして『でも、我々パイロットの為に開発してくれたのは嬉しいのだが、その開発費までは予算に入れていません・・・』。

しかし、シュナイダーは笑いながら、そんなのは期待していないし、むしろブライトリングの名に相応しいクロノグラフの開発に協力をしていただきありがとうということを述べたそうです。

 

こうして、フレッチェ・トリコローリに採用されたクロノマットは翌1984年に市販されることになるのです。

 

 

このクロノマットの開発に際して、シュナイダーを助けた人物がいます。

それがルイジ・マカルーソです。1980年代当時はイタリア最大の時計販売会社、トラデマ社の経営者であり、後にジラール・ぺルゴやジャンリシャールなど擁するソーウィンド・グループ総帥となった人物。

アーネスト・シュナイダーと懇意にしていたルイジ・マカルーソはクロノマットに対してレザーストラップの種類を増やし、よりファッション性を強くしたモデルにするよう助言をしました。ライダータブなども実用性から生まれた物ですが素材をゴールドに替えたりしてバリエーションを増やしファッション性を出すことに成功をしました。結果、プロフェッショナルな実用性がありながら、ファッション性の高い新しいクロノグラフはイタリア市場で爆発的な人気を博すこととなったのです。

当時のイタリア市場は薄型のクォーツ一辺倒だった時代。市場の95%はクォーツだったと言う人もいます。

その中においてクロノマットはファッション好きのイタリア人の心を刺激して捉えたのです。多くの時計店では『ブライトリング完売』の貼り紙がされたそうです。

 

 

こうした背景を元にクロノマットはその後、機械式クロノグラフの代表的な地位を築きあげていくこととなったのです。

クロノマットはこのように誕生した時からプロフェッショナルモデルでありながらファッショナブルな時計としての使命も背負っていたのです。

そのような理由から当初からクロノマットは豊富なバリエーションを備えていました。

通常、そのブランドのフラグシップと呼ばれるような代表モデルのバリエーション、特に文字盤の種類は多く存在しません。

例えばオメガのスピードマスターなら手巻きのプロフェッショナルはプラ風防かサファイア風防の物しかありません。

その他にもスピードマスター名が付くモデルは多数ありますが、それらはスピードマスターシリーズのことであり、代表モデルのスピードマスターと同じケース型と同じムーブメントと考えると2つしか存在しないのです。

他にも例えばロレックスのデイトナもSSモデルでは白文字盤と黒文字盤のみ。

ケース素材違いでコンビの物やローズゴールド、イエローゴールド、ホワイトゴールドやプラチナのモデルなどが存在しバリエーションを増やしていますが知れている程度です。

 

 

クロノマットの面白いのはアイコンと呼べるケース素材と文字盤が存在しないところなのです。

上記のようなスピードマスターやデイトナの場合、アイコンとしてはSSの黒文字盤を思い浮かべる人がほとんどだと思います(デイトナの場合は白も人気ですが)。

同じブライトリングのナビタイマーにしたって、アイコンとしてはSSの黒文字盤となります。

 

そのような中、クロノマットは確かにSSの黒文字盤が人気は高いですが、ブランドとしてはその仕様にとらわれることなくクロノマットのビジュアル展開をしてきています。

 

※最初に1942年に誕生したクロノマットは【クロノグラフ=CHRONOGRAPH(ストップウオッチ付きの時計)+マテマティクス=MATHEMATICS(数学)】の造語でした。今回取り上げるクロノマットは【CHRONOGRAPH+AUTOMATIC(自動巻き)】の造語として命名されたモデルであり、同じクロノマットというネーミングですが別物という扱いにいたします。

 

■クロノマットのアイデンティティ

 

クロノマットの面白いところは際立った個性があるところです。

実用時計がファッション性を無視して実用性だけを考えて作られていた時代(60年代くらいまで)はデザインがどのモデルも似ていました。

陸海空、それぞのプロが使用するのに必要な操作性や視認性などを考え突き詰めていくと必然的に似てくるのは仕方のないこと。

これは私たちの日常生活で使う”道具”を想像してみても分かると思います。

フライパンや包丁など道具と呼ばれるものは形が同じようになってきます。

その機能性を損なわない部分で個性を出すデザインを加味することはあっても大枠の方向性は同じになってしまいます。

 

ではクロノマットをクロノマットとたらしめる個性は何か?

それはライダータブです。

1983年に開発されたフレッチェ・トリコローリの為のモデル

1983年に開発されたフレッチェ・トリコローリの為のモデル

この赤い丸で囲ったパーツが”ライダータブ”と呼ばれる物です。

このライダータブには役割があります。

◆グローブを嵌めた手でもベゼルを回しやすくする引っかかり

◆風防を保護するためのガード(風防より一段高くなっている)

◆視認性(ぱっと見た時に目線がいきやすいマーカーとして)

◆ベゼルをカウントUPだけなくカウントDOWNしても使える(”15”と”45”のライダータブを入れ替える)

 

これはアーネスト・シュナイダーが実際にパイロットたちから何度もヒアリングをし、彼らの要望を100%叶えるにはどうしたら良いかを考えて考案されたものでした。

さらにこのライダータブの部分をゴールドにしたりすることでラグジュアリー感をアップさせたりなどファッション的にも意味のあるパーツとなりました。

▲ライダータブ

 

クロノマットの成功以降、90年代はこのライダータブがブライトリングの各モデルに搭載されるようになりました。

当時のエアロスペースやコルトなどライダータブは計算尺付きベゼルと並びブライトリングの時計を象徴するアイコンパーツとなります。

 

 

 

■世代別クロノマット

 

 

 

 

現在のクロノマットはこのように第4世代へと突入しています。

ここからは各世代の特徴と細かな変遷にもふれていこうと思います。

 

 

1.第1世代

 

1984年~1994年

クロノマットの第1世代でも大まかに3回のモデルチェンジを施しています。

1983年にフレッチェトリコローリの為の時計が完成し、市販が開始されたのは1984年から。

 

その後1994年、97年、00年とモデルチェンジをするわけですが、94年にモデルチェンジする前にも細かな変更があります。

 

1984年 
Ref:81950

 

途中で上記のようにロゴはウィングロゴに変更。

 

1992年にはインダイヤルが縁どられるようになり、ブランドロゴの下に【1884】と創業年が入ります。

クロノグラフ針もBロゴを採用するようになっています。

 

 

 

1994年~1997年

1994年

Ref:A13050

 

クロノマット生誕10周年を機にクロノマットはモデルチェンジをしました。

従来のモデルと比較しますと文字盤中央にはギョーシェ彫りが放射状に入っており、光りの乱反射を防ぐことを目的としています。

また、ベゼルの厚みが増したりなど様々な仕様変更がされました。

 

細かな違いをあげますと

➀インダイヤルの数字が増えた

②タキメーター(TACHYMETER)の表記が入った

③ベゼルの目盛りが太くなった

④短針、長針の形状

⑤クロノ秒針にBが付く

⑥カレンダー窓が四角から樽型になった

⑦インデックスがアップライドになった

⑧ギョーシェ彫りが施された

⑨ロゴマークがプリントからアップライドになった

etc

 

などがございます。

 

なお、【クロノマット ブラックバード】と呼ばれる特別仕様のモデルもございました。

インダイヤルも同色となっており、ケースがサテン(艶消し)仕上げとなっていました。

▲ブラックバード

 

また、1994年まではバーインデックスしか存在しませんでしたが

1994年のモデルチェンジによりアラビアインデックスのモデルも登場します。

(クロノグラフの秒針は本来は先に夜光が入っていません)

 

 

 

1997年~2000年

クロノマットGT&クロノマットヴィテス

 

1997年には早くもモデルチェンジが施されます。

バーインデックスモデルを『クロノマット GT』、アラビアインデックスモデル『ヴィテス』と呼びました。

GTは『グランドトータライザー(=積算計)』の意味で

ヴィテスは『スピード』の意味でした。

1997年

Ref:A13050.1

 

名前が指し示すように、GTは積算計のインダイヤルが一段高くなった縁取りをされていて視認性UPに繋がっています。

一方、ヴィテスはスピード感が感じられる傾斜されたアラビアインデックスになっている。

また、ヴィテスだけでなくGTも共通としてインダイヤルの数字や文字盤の『CHRONOMAT AUTOMATIC』は斜体となっています。

 

この当時は他のモデルにも斜体文字が使われており、ブライトリング内(もしくはデザイナー自身)の流行りだったのだと思います。

 

 

2000年~2004年

クロノマット2000

 

 

2000年
Ref:A13352

 

 

ブライトリングは1999年に『100%クロノメーター宣言』を行い順次クロノメーター仕様に代わってきていた時代です。

クロノマットもモデルチェンジにより、このクロノマット2000からは全てクロノメーター仕様になりました。

 

 

従来からの変更点はインダイヤルの縁取りがより広くなり、そこに数字が記載されるようになりました。

針が数字にかからないようにし、より視認性を高めることを目的としています。

またベゼルの厚みが増し、ベゼルの目盛りもより太くなりました。(ライダータブの数字も太くなった)

 

アラビアインデックスのタイプはヴィテスから1994年初期の頃のようなデザインに変更となりました。

ただ5分毎の夜光は太くなり視認性を考慮しています。

書体も1994年とは違うものとなっています。

 

 

2.第2世代

 

2004年~2011年

クロノマット エボリューション

 

 

2004年

Ref:A13356

 

 

 

 

クロノマット史上最大のモデルチェンジをしたのがこの2004年、20周年に発表されたクロノマットではないでしょうか。

当初はクロノマット エボリューション(進化)というネーミングでした。

『エボ』の愛称で呼ばれていました。

※後にネーミングはエボリューションがとれて『クロノマット』となります。

 

一番の変化は大きさ。

それまでは39㎜だったクロノマットが44㎜とサイズUPしました。

防水性も100mから300mへUPし、パイロットウオッチとして登場したクロノマットがダイバーズウオッチ並みのスペックも備えるようになります。

(クロノグラフのプッシュボタンもねじ込み式になりました)

従来まではアラビアインデックスモデルよりバーインデックスモデルの方が人気が断トツに高かったクロノマットですが

エボリューションではアラビアインデックスのモデルも非常に高い人気を得ました。

 

単純にインデックスだけの違いだけではなく、インダイヤルのデザインや1分毎の目盛りもアラビアインデックスの方は先にかけて細くなっていくなどの違いがありました。

また、バーインデックスのモデルは文字盤に円環状のギョーシェが施されています。

デザイン的にはバータイプは中心から放射状に広がるイメージ、アラビアタイプは中心に向かって集約していくイメージを与えようとしたのだと思います。

 

左:クロノマットエボリューション 右:クロノマット2000

 

ケースの違いもこのようになっています。

➀今までラグは短く真っすぐになっていた⇒エボはラグが長くなり腕に沿うようになった。

②今まで風防よりも一段高い位置にライダータブがあった⇒エボは風防が大きくドーム状の曲線を描いており、中心はライダータブより高くなっている。

 

 

実はこのラグと風防の変化はクロノマットにとって衝撃的な変化でした。

1983年にアーネスト・シュナイダーがクロノマットを開発する際、下記のような理由でデザインがされました。

ラグが短くて真っすぐなのはフライトジャケットにラグが引っかからないようにする為。また真っすぐにしたのは腕に沿わせないことで強いGが掛かる曲技飛行においてあえて遊びを持たせた方が腕に巻き付けて固定させるより良いとの判断だったからなのです。

また、ライダータブが風防より高い位置にあるのも狭いコックピット内で風防をぶつけて割れてしまうという事故を防ぐ為でした。

つまり、それまでのクロノマットのアイデンティだった部分が2ヶ所もなくなってしまったのです。

 

これに対して私は当時の製品開発の責任者だった副社長のジャンポール・ジラルダンに理由を直接聞いたことがあります。

理由は以下の通り。

 

➀ラグが長くなったのはケースサイズが大型し、それに伴い人間工学に基づいたベストな形状にした。

②風防の強度は1983年の開発よりも高くなっている。しかも風防への衝撃は平面でぶつかってくるものだけでないから、いくらタブがガラスより高くなっていてもぶつかる時はぶつかる。だったら今回はそこに拘るのではなく、クロノマットの全体的な曲線美としての美しさを追求した。

 

ということでした。

 

そうこのクロノマット エボリューションでは機能だけでなく美しさ(曲線美)も追求したのです。

当時ブライトリングの全製品のデザインを手掛けるのがエディ・ショッフェル。

1984年に誕生してから20周年を記念してモデルチェンジを施すことになったクロノマット。

推測ですがまずはクロノマットを大型化させようという案が先にあったのではないかと思われます。

2004年までは39㎜のクロノマットの兄弟機としてクロスウィンドという44㎜のモデルがありました。

クロノマットをそのまま大型化させたモデルなのですが、時代的に『デカ厚時計』の人気が高くなっていたこともありクロスウィンドの人気が非常に高かったのです。

当時は男性がクロスウィンド、女性がクロノマットをペアで買うような人達も多くいました。

ブライトリングのフラグシップモデルであるクロノマットも時代のニーズに合わせて大型化させようという意図があったのだと思います。

 

しかし、単純に大型化させてもクロスウィンドと変わりません。

また、何度かのマイナーチェンジを施しながらクロノマットはその時点でかなりの高い水準での実用性を持っていました。

 

そこで、2004年のモデルチェンジに考えられたのが機能的な面での変化よりもデザイン面での大きな変化だったのではないでしょうか。

そして、その変化は変化としてではなく『進化』として昇華させたのです。

エディ・ショッフェルはこの大幅モデルチェンジでクロノマットのあらゆる面に曲線を用いりました。

どのような角度から時計を見ても全体的に丸みがあり、統一感を感じるデザイン。

角をとって全体的に曲線があるから、どのような角度から光りが当たっても光りが乱反射して輝くのです。

この光りの反射をエディ曰く『光りが踊る』と。

 

そんな詩的な表現をするエディ・ショッフェルは元々宝飾デザインの出身だったということを考えたら納得です。

 

 

当時の日本国内での広告。曲線を活かした構図の写真を使っています。

 

新しいクロノマットが従来とどのように変わったのか一目で分かる広告

 

3.第3世代

 

2009年~2020年

クロノマットB01

 

 

2009年

Ref:AB0110

 

2009年、自社ムーブメントを搭載した【クロノマットB01】が登場します。

※後にネーミングはクロノマット01⇒クロノマット44へと変化します。

2009年5月29日世界同時発売をしました。

初の自社製ムーブメントを搭載したモデルだったので、全く新しいクロノマットにしたかったとのことです。

ですので、当時はクロノマット エボリューションは生産終了とならず、クロノマットB01と並んで販売されることとなりました。

 

 

 

クロノマット エボリューション
クロノマット B01

 

 

 

 

このモデルもクロノマット・エボリューションからの流れを汲み曲線を強調したディテールとなっています。

ベゼルにあったタブも突起を無くしてより統一感を増しました。

 

左が従来のクロノマット、右がクロノマットB01の物です。

従来までは風防に被さるような形で一段高くなっていた突起がなくなっています。

 

突起がなくなり指の引っかかりが少なくなった分、回しやすさの為にベゼルの回転数を1周120ピッチから240ピッチへと変更。

非常に滑らかに回すことができます。

(ちなみに第1世代のクロノマットは60ピッチ、第2世代で120ピッチとなりました)

 

 

また、指の引っかかりを持たせるためにベゼルの高さをタブを起点としてスロープさせています。

正面から見るとわからないが横から見るとわかります。

※なお、第2世代までの数字が刻まれたタブはライダータブと呼んでいましたが、第3世代の数字が記載されていないタブはインデックスタブと呼ばれています。

↑矢印方向だけに回転する逆回転防止ベゼルです。ですので回転方向に力を加えるとタブに指が引っかかりますが

逆方向に回そうとしてもベゼルとタブの段差が少ないので指の引っかかりが少ないのです。

 

飛行機のプロペラのような加工です。

デザイナーのエディ・ショッフェルはこの加工について『光りの遊びによってスチールが歌っているようにしたかった』と言っています。

 

 

 

 

また、デザイン面では上記のように中央に四角い意匠が設けられています。

これは全体に曲線を用いて光りが踊る美しさを表現したクロノマットB01ですが、しかしルーツがパイロットウオッチである以上は【力強さ】も必要だとして取り入れられたデザインであります。

 

 

このデザインを取り入れることでインデックスの形がそれぞれ違った形になり、生産効率が悪くなるのですが

それでも譲れない部分だったのだと思います。

 

 

4.第4世代

 

2020年~

2020年
Ref:AB0134101

 

 

そして2020年、ついに新たなクロノマットが登場しました。

2018年からジョージ・カーン体制になりこの体制の元で作られた初のクロノマットとなります。

大きな見た目の特徴としては初代クロノマットに同じルーローブレスです。

永年、ブライトリング、そしてクロノマットのアイコン的な存在として作られていたパイロットブレスを脱却し、初期のルーローブレスを復活させたのです。

 

またデザイン的な特徴を見ていきますと

永らくクロノマットを象徴するディテールだったタブですが、第3世代でカウントダウンの出来ないデザインに変更になっていましたが、

今回からは再度カウントダウン可能なライダータブへと戻っています。

これは第3世代時に登場したクロノマット エアボーンやクロノマット JSPなどカウントダウン可能なライダータブ付きモデルが人気だったということ、

また1984年の発売当時のクロノマットの誕生背景などを考えてそのようにしたと思われます。

 

ブライトリングの傑作クロノグラフが、待ち望まれたリニューアルでクラシック&スマートに | WATCHNAVI Salon

さらにケースを横から見ていただくとラグは短く、フラットなデザインとなっています。

これも1984年の初代のクロノマットのコンセプトを受け継いでいる仕様となっています。

 

その他、新型クロノマットは裏蓋がトランスパレットになっており、ムーブメントが鑑賞できるようになっています。

その為防水性は500m防水から200m防水へとスペックが下げられましたが200m防水もあれば十分という判断だったのだと思います。

またクロノグラフのプッシュボタンもネジ込み式にはしませんでした。クロノグラフを容易に操作できる方が良いという判断だったのかな、と思っています。

 

 

第3世代までと第4世代との違い

 

まず、私なりの結論を述べますと第4世代のクロノマットは”再解釈”されたクロノマットだと思っています。

一方、従来までのクロノマットはモデルチェンジごとに”進化”をしてきたモデルだと思っています。

おそらく第3世代までのデザインを担当していた”エディ・ショッフェル”はモデルチェンジの度にこの”進化”を意識してきたのだと思います。

2004年にクロノマットがモデルチェンジした際にも”クロノマット・エボリューション(進化)”とネーミングしたのはそのきっかけだったのかな、と。

エボリューションになった時にケースが大型化され、短かったラグは長くなり、防水性は100Mから300Mへアップしました。

ディテールも全体的に曲線を用いて光の輝きを取り入れ、美しさも追求したモデルでした。

その後2009年に発表された”クロノマットB01”もその流れを汲んで改良されてきました。

進化とは環境に適応し変化していくことであり、このクロノマットのモデルチェンジは市場や社会、技術的な進歩などによってまさに進化してきたと言える内容の物でした。

 

従来のクロノマット=EVOLUTION(エボリューション)=進化

 

新型のクロノマット=REINTERPRETAITION(リインタープリテ―ション)=再解釈

 

では、新作クロノマットを再解釈の時計と言ったのはどのような理由からかご説明していきます。

オリジナルのクロノマットが誕生した当時、確かに元々はアクロバット飛行チームの為に開発された時計でしたが

前述したように、そのタフなスペックとスタイリッシュなデザインはあらゆるジャンルの人たちに求められたモデルでした。

そのような背景から新作クロノマットは単なる”パイロットウオッチ”ではなく、どのようなジャンルの専門家(ファッショ二スタも含め)にも認めてもらい使用できるような時計であろうと開発されました。

そのような経緯もあり、CEOのジョージ・カーン曰く新作クロノマットを”マルチパーパス”な時計だと言い切っています。

このマルチパーパスという言葉は多目的という意味があります。

ブライトリングというブランドを知っていると、”多目的”という意味が陸・海・空といったジャンルの専門家に向けた意味合いと捉える方も多いかもしれません。

しかし、この”多目的”には実用性としてのスペックだけでなくファッション性も含まれているはずです。

なぜならばオリジナルクロノマットは発売当初はイタリアのファッション好きの人達の間で火がついたという歴史があり、それを意図して開発された時計であるからです。

クロノマットがスペックだけのマルチパーパースなモデルだとしたらそれはアベンジャーでも代替えができるわけです。

ファッション性も取り入れてこそのマルチパーパースな時計、それがクロノマットなのです。

このようにパイロットだけに向けたものではなく、ファッション性も加味し、オールジャンルの職業の人へと向けた時計がクロノマットだと、そのように再解釈されてつくられたのが第4世代のクロノマットなのです。

 

 

 

生命の進化の過程を逆に辿ると、どこに行き着くのかが分かる | 日出ずる国の特許事務所 ®

↑第3世代までのクロノマットはこのような進化を意識したモデルチェンジ

 

 

↑第4世代はチンパンジーからゴリラへ変化したようなイメージ。元を『再解釈』したモデルチェンジと思います。

 

以上が私なりの見解です。

メーカー側が正式に言っていることではないですし、人それぞれ意見があるかと思います。

過去、モデルチェンジをする度に『クロノマットらしくない』とか『これはクロノマットじゃない』という人もいました。

しかし、どの世代のクロノマットもクロノマットなのです!

 

 

■クロノマットのムーブメント

 

ブライトリングはクロノマットに限らず、搭載するムーブメントは徹底的チューンを施しています。

元々は『ベストコンポーネント』という考え方を持っており、餅は餅屋という発想で自社ムーブとか他社ムーブとか拘るよりも”より良い物”を提供するのに何ができるかということを主軸に考えて開発しております。

そんなブライトリングがクロノマットにどのようなムーブメントを搭載してきたか見ていきたいと思います。

 

1.ETA バルジュー7750

 

 

 

1984年から94年まで、クロノマットは17石のETA7750を搭載していました。

ストックとして持っていたETA7750を使ったのですが、実は今では多くのクロノグラフに使われる7750を世に広めるきっかけとなったモデルの1つがクロノマットと言われています。

クロノマットの成功が今日の7750の普及に繋がったとも言えます。

※17石のまま1990年(Ref:A13047以降)からはムーブメントに名称が与えられるようになり『キャリバー13』と呼ぶようになります。

 

2.Cal.13

 

~ノン・クロノメーター仕様~

説明がありません

 

 

1990年(Ref:A13047)からETA7750のムーブメントに“キャリバー13”という名称が与えられるようになります。

そして、94年以降は、17石だった7750を25石仕様にして搭載するようになります。

 

 

~クロノメーター仕様~

 

Cal.13は1999年にブライトリングは発表した「100%クロノメーター宣言」に伴い全面的な改良をすることになりました。

元々、7750はテンワが大きく精度が出しやすかったのですが、クロノグラフを作動させるとテンプの振り角が大きく落ちこみ姿勢差誤差が大きくなってしまうという特徴がありました。これに対してブライトリングは、振り角を上げることで解決することにしました。

香箱を全数検査し、高いトルクのものだけを採用するようにし、さらに脱進機を高品質なクロノメーター級のグレードにし、振り角を平均300度以上にするようにし、姿勢差誤差も、テンワの「片重り」を取ることで解消するようにしました。

 

なお、ETA7750には以下のグレードが存在します。

■スタンダード

■エラボレート

■トップ

■クロノメーター

です。

グレードが高くなればより精度も高い仕様となっています。

また素材の違いもあります。素材の違いが出るのがエラボレートとトップ。(スタンダードとエラボレート、トップとクロノメーターは基本的に素材は一緒)

スタンダード、エラボレートはテンワにニッケル、ヒゲゼンマイにニヴァロックス2を使用。

一方、トップとクロノメーターはテンワにグリュシデュールを使用。

ヒゲゼンマイはアナクロン(ニヴァロックス2を焼き入れし、優れた特性を有する)を使用しています。

トップとクロノメーターは双方に技術的な差はなく、微調整のレベルがやや異なります。

多くのブランドが7750をベースに使用したりしていますがどのグレードのものを使用しているのか、

また、どのような手の加え方をしているのか、それらの要素で型式は同じ7750でも全く別物と言えるようなムーブメントに仕上がっていくのです。

 

ブライトリングはもちろん『クロノメーター』仕様を使用しています。

 

3.Cal.B01

 

ブランド別キャリバー全部出し】クロノグラフの先駆者 BREITLING ブライトリング・キャリバーの系譜 | 特集 | 時計Begin.jp

2009年に満を持して発表されたのが初の自社製ムーブメント『キャリバーB01』です。

このムーブメントの優れているところを簡単に言いますと『壊れにくい、壊れても直しやすい』と言った特徴だと思います。

(詳しくはコチラもご覧ください。⇒http://www.threec.jp/magazine/104

通常、ムーブメントの設計師は修理する技術者とは異なる職種になります。ブライトリングはこの新しいムーブメントを開発するにあたり、

設計チームに修理技術部門の責任者を交えて開発していきました。

技術者の意見が交えられたこのムーブメントが『時計メーカー(技術者)フレンドリー』と呼ばれる所以です。

 

昨今の自社ムーブメントのトレンドである垂直クラッチとコラムホイール、そして3日間のパワーリザーブというスペックを持たせていますが

細かな優れているところは日付の早送りが24時間可能なところやクロノグラフ部分がユニット式になっていてネジを8本外すだけでユニットを外せて時計の心臓部までアクセスできるところなどがあります。

 

また、素材に流行りのシリコンやカーボンなどを使用していないのは『新素材を否定するわけではないが、信頼性のある永い歴史ある素材を使用したい』という意図があるから。

テンプ部分にダブルブリッジやフリースプラングを採用していないことを指摘する人もいます。

現在の高級仕様のムーブメントはダブルブリッジとフリースプラングというのは多くなっていますからね。

ただ、これにもブライトリングの哲学があります。

 

そもそもダブルブリッジの利点はテンプを左右から支えることで衝撃から護るという点があります。

しかし、実はガチガチに支えることで強すぎる衝撃には耐えられなくなるということが発生する場合があります。

シングルブリッジの方が強い衝撃に対してはムーブメントを護れるというブライトリングの判断でこのようになっています。

例えば強い地震に対して建物を護る為にあえて建物を揺らせて崩れないようにするという耐震構造がありますが発想的にはそれに近いです。

 

 

 

フリースプラングに関しても

コストをかけてフリースプラングにしなくてもクロノメーター級の精度を出せる技術があり、衝撃対策においてもそこまでの必要性を感じなかったのでフリースプラングは採用しなかったとのこと。実際フリースプラングの一番の利点として考えらるのはゼンマイがほどけてきた時の等時性。しかし、その等時性もちゃんとゼンマイが巻かれている状態でしたらあまり関係がないです。またよく言われる耐衝撃性能に関しても理論上はフリースプラングの方が確かに高いですが、使用していて実際にその差を感じる程の優劣が感じるケースはほとんどないとのことです。

あとはフリースプラングにするとメンテナンスの際の調整も難しいですしね、利便性を考えて緩急針のままにしたのだと思います。

 

このようなあくまでもプロフェッショナルの為の”道具”としてどうあるべきか?という考えで設計をされているブライトリングの姿勢は素敵だなと思います。

 

ただ、最近ではB20のようなダブルブリッジでフリースプラング仕様のムーブメントも採用しているので、ブライトリングとしても絶対にどっちが良いという判断は無いのだと思います。実際にそれぞれに長所と短所はあります。

 

 

 

■歴代デザイナー

 

あるモデルを好きになる理由には色々な要素があると思いますが大きな要素の1つが間違いなくデザイン。

これまでクロノマットのデザインに携わってきた人をここではご紹介していきます。

 

 

 

 

1.アーネスト・シュナイダー(ERNEST SCHNEIDER)

 

ブライトリング クロノマット - クロノグラフ腕時計専門店 クロノグラフSENO

1983年にイタリア空軍のフレッチェ・トリコローリの公式時計の公募に出すかたちで開発が始まった初代クロノマット。

開発の陣頭指揮をとり、自らデザインなどを手掛けたのが当時の社長アーネスト・シュナイダーでした。

彼はパイロットの要望を注意深く聞き、自身でクロノマットのデザインを描きあげていきました。

 

ブライトリング/クロノマット | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos]

↑アーネスト・シュナイダーによるデザイン画

 

このクロノマットのデザインに大きな影響を与えた人物がいます。

それがルイジ・マカルーソです。

Haute Horlogerie VIP Luigi Macaluso Dies | Elite Traveler : Elite Traveler

↑ルイジ・マカルーソ(LUIGI MACALUSO)

 

先にも述べましたがマカルーソは当時イタリア最大手の時計販売会社トラデマのCEOでした。

イタリア空軍の公募にブライトリングの出品を仕掛けたのも実は彼だったということ。

さらに初期のクロノマットのスケッチも手掛けたという話があります。

クロノマットが当初からプロフェッショナル向けでありながらもファッショナブルさを兼ね備えていたのは彼の影響が大きいと思われます。

 

 

 

2.エディ・ショッフェル(EDDY SCHOPFER)

 

ブライトリングファンの中ではご存知の方も多い、エディ・ショッフェル。

ブライトリングのデザインを手掛けるようになったのは1989年から。

ブライトリングでのデザインで最初に脚光を浴びたのが1991年に発表されたパイロットブレスです。

 

↑ショッフェルによるパイロットブレスの実寸図

 

エディ・ショッフェルがブライトリングの時計のデザインを初めて手掛けたのが2000年に登場したクロノ・アベンジャーです。

それ以降ブライトリングの全製品のデザインを手掛けていくことになります。

そのショッフェルがデザインしたクロノマットが2004年に発表されたクロノマット・エボリューションとなります。

続いて2009年に発表されたクロノマットB01もショッフェルによるデザインとなります。

この2型は光りを取り入れた曲線美を意識したデザインとなっています。

元々宝飾デザインの出身であるエディ・ショッフェルらしい色気を意識したデザインの時計達だと思います。

 

 

3.シルヴァン・バーネロン(SYLVAIN BERNERON)

 

2020年に発表された新型クロノマットのデザインを手掛けたのがシルヴァン・バーネロン。

ブランドから公式にデザイナーの発表がされていないので、もしかしたらチームでのデザインだったかもしれませんが

チーフとしてデザインに携わったのはこのバーネロンとなります。

 

以前はBMWモトラッドでバイクのデザイン、その後にボーム&メルシエで時計のデザインに携わってきた人です。

新型のクロノマットのデザインにどのような意図や拘りがあったかなどの言葉は直接聞けていないのが残念です。。。。

 

 

■現在購入できるおススメのクロノマット

 

 

1.クロノマットJSP

クロノマットJSP - AB0115111B1A1

 

 

1.クロノマットJSP

品番:AB0115111B1A1

ケース径:44㎜

防水性:500m

ムーブメント:ブライトリングB01

価格:946,000円(税込み)

 

クロノマットの日本市場向けに作られた特別モデル。

第三世代のクロノマットの特徴だったベゼル周りを往年のクロノマット風に仕上げたモデル。

ベースとなったのが2014年に発売された”クロノマットエアボーン”。

 

BREITLING Chronomat 30th anniversary 1984-2014

 

クロノマットエアボーンは入れ替え可能なライダータブを付けており、クロノマット発売20周年を記念したモデルとして登場しました。

 

▲左:従来のクロノマット 右:クロノマットエアボーン

 

 

こうして見比べると印象がだいぶ違います。

エアボーンは夜光などをベージュ色にしてヴィンテージ感を強めました。

クロノマットJSPはインダイヤルも同色にしてエアボーンよりシックでスマートな印象のモデルとなっています。

500m防水という高い防水性能と初代クロノマットの雰囲気をもったベゼルデザイン。

クロノマットの歴史を強く感じることの出来るモデルです。

 

 

2.クロノマットJSP ローマンインデックス リミテッド

クロノマットJSP ローマン インデックス リミテッド - AB01153A/BH26/388A

 

2.クロノマットJSP ローマンインデックスリミテッド

品番:AB01153A/BH26/388A

ケース径:44㎜

防水性:200m

ムーブメント:ブライトリングB01

価格:990,000円(税込み)

限定本数:500本

 

クロノマットJSPのインデックスをローマ数字に換装したモデル。

裏蓋はトランスパレットになっておりムーブメントを眺めることが可能。

その代わり、防水性は200mとなっています。

 

また、このデザインは90年代に人気を博したクロスウィンドからインスパイアされたもの。

▲クロスウインド

 

放射状に配置されたインデックス、さらにインデックスの中に夜光を配したのが特徴。

現在はワールドワイドではローマ数字のインデックスのブライトリングは販売されていないので

ローマ数字が好きな人にはお勧めです。

バーインデックスよりもエレガントさが増します。

 

3.クロノマットJSP ローマンインデックス ブラック マザー オブ パール

クロノマット JSP ローマン インデックス ブラック マザー オブ パール リミテッド - AB01153A1B1A1

 

 

3.クロノマット JSP ローマン インデックス ブラック マザー オブ パール リミテッド

品番:AB01153A1B1A1

ケース径:44㎜

防水性:200m

ムーブメント:ブライトリングB01

価格:1,188,000円(税込み)

限定本数:500本

 

上記ローマンインデックスモデルの文字盤がブラック マザー オブ パールモデル。

通称『ブラックMOP』文字盤です。

天然の真珠母貝を使っているので表面の仕上げが1点1点異なり、世界に全く同じものが2つと存在しないというところが魅力。

ローマ数字と相まってよりラグジュアリー感が増しています。

 

 

4.クロノマットB01 42 ジャパン エディション

クロノマット B01 42 ジャパン エディション - AB0134101B2A1

 

4.クロノマット B01 42 ジャパン エディション

品番:AB0134101B2A1

ケース径:42㎜

防水性:200m

ムーブメント:ブライトリングB01

価格:979,000円(税込み)

 

新型クロノマットの日本市場のみの特別モデル。

定番では針とタキメータースケールに赤を採用していますが、こちらは色を使わず落ち着いた雰囲気に。

90年代のクロノマットを彷彿させてくれる配色となっています。

 

 

裏蓋はトランスパレットになっており自社ムーブメントB01を見ることができます。

 

 

5.クロノマットB01 42

クロノマット B01 42 - AB0134101G1A1

5.クロノマット B01 42

品番:AB0134101G1A1

ケース径:42㎜

防水性:200m

ムーブメント:ブライトリングB01

価格:979,000円(税込み)

 

新型クロノマットの定番モデル。

グレー文字盤に黒のインダイヤルとパンダカラーと呼べる配色。

パイロットウオッチと言えば黒文字盤が王道ですが個人的にはファッション性を併せ持つクロノマットだからこそおススメしたい文字盤色です。

なお、従来にはない文字盤色だと思われると思いますが、かつては80年代には同じような配色のクロノマットが存在しました。

 

 

▲Ref:81950
クロノマットらしいカラーリングと言えるのではないでしょうか。

 

 

■装着インプレッション

今回の装着インプレッションはこちらの2本で送りたいと思います。

 

まずはクロノマットJSPから。

 

ケース径44㎜ですが個人的には大きさは気になりません。

むしろ着け慣れたサイズ感です。

インダイヤルは文字盤と同色でベゼル以外は全て光沢のあるポリッシュ仕上げですのでラグジュアリーな感じもあります。

 

斜めから見るとデザイナーのエディ・ショッフェルが言っている『光りが踊る』という意味が分かっていただけると思います。

風防のてっぺんを中心にベゼルからケースにかけて曲線的で丸みのある美しいフォルムになっています。

全体がポリッシュされているので、そこに映り込む画が水の中での揺らぎのような温かさも感じさせてくれます。

 

 

個人的にはこの角度から見る時計の姿が好きなんです。

この角度から見てグッとくるデザインの時計に惹かれます。

クロノマットJSPは本体だけではなく、ラグからブレスにかけても綺麗にまとまった統一感があります。

 

 

500m防水あるのでケースは厚めですが、着け心地は良いです。

重心バランスはもちろんですが、ブレスレットの幅や厚さ、サイズ感がそう感じさせてくれるのだと思います。

 

 

 

一方、新型クロノマットはどうか?

これはこれで男らしくクロノマットらしいカッコよさがあります。

一番特徴的なルーローブレスは個性的ですが、ちょっとクラシカルさとかレトロさのある雰囲気。

しかもベースは艶消しになっているのでクロノマットJSPとはまた違った印象に。

 

この角度から見るとクロノマットJSPの曲線を強調した作りとは全く違うモデルだということが感じられます。

 

 

クロノマットJSPよりケースが薄くなった分、風防から文字盤までの奥行は浅くなりました。

斜めから針を見た時の風防による歪みもなく視認しやすいです。

 

 

クロノマットJSPとは違い、ラグがフラットで初代クロノマットを彷彿させてくれるディテールになっています。

ラグが短くフラットな為、見た目はケースが浮いたように見えますがルーローブレスのしなやかさも相まって着け心地は良いです。

 

 

2本腕に載せてみました。

初代クロノマットを知っているとどちらもクロノマットらしさがあるカッコいいモデル。

でも2本並べると2本は全く違う時計にも見えてしまいます。不思議。

 

 

ケースはクロノマットJSPの方が厚いです。

クロノマットJSPは大きくて丸くて輝いているので主張は強く感じられるモデル。

比較すると新型クロノマットは落ち着いた印象になります。

 

リューズやプッシュボタンの形状も違うのですが、実はここの好き嫌いがある人がいます。

 

 

クロノマットJSPの方が厚いのですがリューズを中心に見ると新型クロノマットはクロノマットJSPよりも裏蓋もベゼルも薄くなっています。

つまり、どちらも同じような重心バランスとなっていて着け心地影響はさほど感じられません。

 

クロノマットJSPは44㎜、新型クロノマットは42㎜となっています。

しかし、風防の直系はクロノマットJSPが32㎜に対して新型クロノマットは33㎜。見ようによっては新型クロノマットの方が若干大きく感じます。

ただ、ケースの形状もクロノマットJSPは9時側が膨らんでいて44㎜となっているので実際のサイズ感は差がないと言えるような作りです。

 

■まとめ

 

いかがだったでしょうか。

改めて4世代に渡るクロノマットを見てきました。

時代やデザイナー、経営者が代われば同じモデルでもそれぞれの個性が出てくるものです。

代表的なモデルになればこそ、なかなか手をつけて変化をさせることができなくなることが多々あります。

なぜなら今まで培ってきたものを壊しかねないから。

しかし、クロノマットはこの40年弱で大胆な変化を繰り返してきました。

これはクロノマットがファッション性を重視した実用時計だからこその宿命なのだと私は思います。

単なる実用時計なら基本的には変わる必要はありません。スピードマスターやナビタイマー然りです。

一方、工芸品のような時計も変わる必要はありません。伝統を守っていかなければいけないから。

しかし、”ファッション”というものは時代に合わせて変化していくものです。時代と共に文化が変容していき人々の感性も変化していきます。

その時代のニーズや感度に当てはまるファッションというものはあって、その波を捉える(もしくは波を作る)ことを目指して作られてきたモデルがクロノマットなんだな、と思いました。

最初にも述べましたが、ただそれがデザイナーの感性だけでデザインされた単なるファッションウォッチではないところがクロノマットの魅力です。

実用時計以上の実用性を持った、道具として性能と機能を兼ね備えた万能ウォッチ。それがクロノマットであり私の心を何年、何十年たっても心ときめかせてくれる要素なんだなと改めて感じました。

 

 

■おまけ~歴代フレッチェ・トリコローリ モデル

最後にクロノマットの過去のフレッチェ・トリコローリモデルを。

初代はフレッチェの隊員に向けて。

94年モデルは世界限定4000本

04年モデルは世界限定1000本

13年モデルは世界限定1000本

20年モデルは世界限定250本

となっています。

 

 

以前ご紹介した新旧クロノマット比較動画もよろしければどうぞ↓

 

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