【新旧徹底比較】最強の実用時計登場!! オメガ 2021年 新型スピードマスター(Cal.3861搭載 ) ~310.30.42.50.01.001 VS 311.30.42.30.01.005~
こんにちは。
スリークの飯田です。
オメガの代表モデルであり、私が長年憧れ続けている最強実用時計の一つであるスピードマスター。
そのスピードマスターが今年ついにモデルチェンジをしました。
月まで行った時計としてあまりにも有名なこのモデルですが、実はムーブメントの変更に伴い価格が12万円アップいたしました。
右:従来のモデル。
品番:311.30.42.30.01.005
左:新型のモデル
品番:310.30.42.50.01.001
このように正面からの画像だとブレスレットの違いに目が行きがちですが、文字盤やケースなど随所で変更点があります。
↑スリークチャンネルでご紹介させていただきました。
ドット・オーバー 90
左:新 右:旧
タキメーターベゼルにある【90】の位置が変わっています。新型はドットが90の上にくるように配置されており、ドット・オーバー90(DON)と呼ばれています。
ドット・
左:新 右:旧
タキメーターベゼルにある【70】の位置が変わっています。新型はドットが70の斜め下にくるように配置されており、ドット・ダイアゴナル・トゥ70と呼ばれています。
これらの新しい仕様は60年代のスピードマスターの多くに採用されていた仕様です。機能的な違いはありませんが、これらの仕様は伝説的なモデルへのオマージュとなります。今回のモデルチェンジではこれらだけでなく随所に過去のモデルへのオマージュを盛り込んだ仕様となっています。
1/3ミニッツスケール
左:新 右:旧
これまでミニッツスケールは1/5秒刻みでしたが、1/3秒刻みに変更されました。
これはスピードマスターのムーブメントの振動数が毎時21,600振動だからです。
毎時21,600振動ですと1秒間の振動数は6回になります。今までは1秒間を5分割にした目盛りでしたが、これでは秒針が正確に目盛りに載ることはありません。1秒間を3分割にすれば、1秒間に6回刻む針は2回に1回の割合いで目盛りに載ります。
実際にこのミニッツスケールの目盛りまで正しく読み取るような使い方をすることはそうそう無いと思いますが、ここまで拘ったのが今回のスピードマスターなのです。
ロゴの配置
左:新 右:旧
ロゴ下の『Speedmaster』と『PROFESSIONAL』の横を揃えました。これは特に大きな意味はないような気もしますがどうなんでしょう。
この他にも色々とあるんです。違いが。
新型は文字盤の外周に段差が出来た『ステップダイアル』となっています。それに合わせて針の先を曲げてあります。
また、インデックスの夜光塗料も従来は直接プリントされたものでしたが、新型はダイアルを彫り込んでそこに夜光塗料を流し込んでいます。
さらに見た目の大きな違いとしては横から見ると分かるのですがラグの厚さが増しています。
文字盤の色合いもより濃い黒になっていたり、ケース全体の厚さはやや薄くなり、軽くなっています。
まだまだ他にもあるのですが、ネットで検索していただくと色々と出てくると思います。
ちなみに私が知る限りではどこもこの変更を記事に上げていないのが下の内容です。
インダイアルの数字
左:新 右:旧
従来は3時方向の30分積算計の数字と比較すると、9時位置のスモールセコンド(秒針)の数字が大きく外側へ広がっていたのですが、新型は30分積算計の数字とほぼ同じような感覚でスモールセコンドの数字が記載されています。
どうでも良いような仕様変更ですが、個人的には従来のモデルを見ていて以前から気になっていた箇所なので、修正されて嬉しい箇所です(欲を言えば、もっとちゃんと30分積算計の数字と揃えて欲しいのですが。。。。)。
と、外観の違いは実物を見比べて自身で確かめていただいた方が一番いいと思いますのでこれくらいにしておきまして、今回のモデルチェンジで一番大きな変更と言ったらムーブメントです。
そこで今回は1957年に誕生して以来、スピードマスターのムーブメントがどのような変遷をたどったのかまずは見ていき、
その後はスピードマスターが辿った歴史など色々とご紹介していきます(これか先は過去に掲載したブログの修正版となります)。
目次
1.スピードマスターの歴代ムーブメント
初代のスピードマスターは1957年に登場します。そこに搭載されたのはレマニアによって開発されたCal.321でした。 Cal.321は80年代以降はパテック フィリップやヴァシュロン・コンスタンタン、ブレゲ、オーデマ ピゲなどのコンプリケーションのベースムーブメントとして採用された名機です。スピードマスターの生産量拡大と高精度化を目指して1968年にCal.321からCal.861へ代わります。Cal.321が毎時18,000振動だったのをCal.861では毎時21,600振動に引き上げられました。
↑赤で囲った部分がコラムホイールとハートカム
また、Cal.321にはコラムホイールが採用されていましたが、Cal.861では簡略化してハートカムになっています。
ちなみに、ハートカムよりコラムホイールの方が良いと言われることが多いです。その理由として昔のカム式ではブレーキレバーが付いておらずそのように言われていました。しかしCal.861にはブレーキレバーが付いており、機能上ではコラムホイールと差はなくなっています。
なお、Cal.861ではテンプのチラネジが省略されていますがチラネジには調整の手間が掛かりますし、部品の製作精度もあがりチラネジは不要との判断だったのだと思います。
そして、1997年からは861をロジウムメッキ仕様になったCal.1861となりました。861と1861は仕上げの違いだけであり基本的な変更点はありません。50年以上変わらずに続いている名作だと個人的には思います。
また、基本的な輪列や設計はCal.321からずっと変わっておらず、スピードマスターというのは時計のデザイン面だけでなく中身も(ほぼ)変わらず続いている稀有な存在なのです。
Ref:311.30.42.30.01.005(旧型 生産終了モデル)
そんなスピードマスターですが、今年ついに中のムーブメントが仕様変更となりました。
Cal.1861からCal.3861へと変更となります。
↑ムーブメントの向きが違うので分かりづらいですが基本的な輪列構造に変わりはありません。Cal.1861をマスタークロノメーター仕様に変更になったのがCal.3861となります。
大きな違いは以下の通りです。
◆15000ガウスの耐磁性
◆コーアクシャル脱進機
◆フリースプラングテンプ(シリコン製ひげゼンマイを使用)
これらの特徴については各方面で詳細に書かれているので簡単に説明しますが、Cal.1861がメンテナンス性も含めて大幅にレベルアップしたと言えます。
15,000ガウス
⇒どんなに強力な磁場でも大丈夫。
工業規格での耐磁時計は1種で4,800A/mに耐えれる物。2種(強化耐磁時計)で16,000A/mに耐えれる物を言います。今まで時計業界では量産されているモデルでもっとも高い耐磁時計が80,000A/mに耐えれるものでした。一見、80,000A/mでも凄い耐磁性に感じると思います。いや、確かに凄いのですが現在社会の環境ではそれでも磁気帯びをすることがあります。スマホやタブレットなどを始め、あらゆるところに磁気を発する物が多い世の中です。
一方で15,000ガウスというのはどれくらいかと言いますと、アンペア(A/m)に換算すると約1,200,000A/mなんです。さらにオメガの実験では50,000ガウスにも耐えれたと言います。つまりは約4,000,000A/m・・・・従来考えられていた耐磁時計とは次元が違うのです。MRIでもへっちゃらなんです。
何故にここまでの耐磁性があるかと言いますと、従来はムーブメントを軟鉄のインナーケースで保護することで耐磁性を持たせていました。
しかし、オメガは磁気帯びをして不具合を発する主要部品に非磁性の素材を使用することで帯磁の問題をクリアしたのです。もはや耐磁性能について議論をしたり、磁気帯びを心配したりする必要は皆無となったのです。
コーアクシャル
⇒定期的なメンテナンス(オーバーホール)を8~10年しなくても良い(通常は3~5年に1回)。
オメガを多少なりとも調べたことがある人なら聞いたことがあると思われる『コーアクシャル』。オメガが特許を持っている仕様なのですが、時計の心臓部である脱進機の部分が一般的なものとは違います。一般的な時計はアンクルの爪石が2つなのに対してコーアクシャルは爪石が3つになります。
この脱進機の部分は時計の内部で最も激しく、強く動いているところです。ゼンマイが一気に解けようとして色々な歯車に伝わってきた力を最後にブレーキ掛けるのがアンクルです。このアンクルが動いてちょっとずつ力を逃がしてちょっとずつ歯車を動かすことで正確な時間を刻みます。ちょっとずつと言っても物凄い速さでちょっとずつ逃がしていくわけです。
ここでの摩擦を減らして大幅にメンテナンス周期を伸ばすことに成功したのがコーアクシャルなのです。
コーアクシャルってどうなっているのか?という人は下記動画をどうぞ。
フリースプラング
⇒耐久性が高い(ヒゲ絡みがしにくい⇒精度を保てる)。等時性が高い(トルクが少なくなっても安定した精度)。一般的な伝統的な機械式時計は緩急装置には緩急針を用いています。時計の精度を決めるヒゲゼンマイの往復運動のリズムを決めるのが緩急針なのですが、フリースプラングには緩急針がありません。
緩急針の役目をイメージで伝えますね。一定のリズム伸びて、縮んで、を繰り返すヨーヨーがあるとします。そのヨーヨーの紐を持っている位置をずらすとどうなるでしょうか。紐を短く持てば、ヨーヨーの伸びてから縮むまでは早くなります。逆に紐を長く持てば、ヨーヨーが伸びてから縮むまでの時間が遅くなります。
ここで言うヨーヨーが時計のテンプで、紐がヒゲゼンマイです。ヒゲゼンマイを持つ位置を変えることでヒゲゼンマイの収縮、拡張運動のリズムが変わり精度に影響を及ぼします。
時計に衝撃が加わると、このヒゲゼンマイを持つ部分(ヒゲ棒)にヒゲゼンマイが触れて歪んでしまうことがあるのです。
通称『ヒゲがらみ』というやつです。
フリースプラングの場合、この緩急針がそもそも無いのでヒゲがらみが起きにくいのです。さらに緩急針の場合、ゼンマイのトルクが弱くなってくるとヒゲ棒に触れるタイミングがずれてしまうことがありますが、フリースプラングではそれも無いので高い等時性を保つことができるのです。
では、フリースプラングはどうやって精度の調整をするのか?と言いますと、テンワの内側に付いているネジの締め具合によってテンワの慣性を変えて調整をします。
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と、まぁCal.3861は何とも素晴らしい内容になったんです。
さらに、精度も従来は日差-1秒~+11秒だったものが、Cal.3861は0秒~+5秒に調整されており、パワーリザーブも50時間と伸びているのです。新型のスピードマスターは12万円も値段が上がりましたが、それだけの価値と魅力がある仕様となったのです。
ただ一方でCal.1861信者には残念なことでもあります。
上記のように書いてくると、どう見てもCal.3861の方が良いという見え方になります。
でもCal.1861にも魅力があります。例えばCal.3861で採用されたシリコン製パーツ。シリコンは経年で割れやすくなるという弱点があり、シリコン製パーツに懐疑的な人もいます。またフリースプラングよりも伝統的な緩急針の方が機械式時計として味わいがあるという意見の人もいます。特にCal.1861ならオメガ社ではなくとも時計の技術者なら比較的容易に修理ができます。
Cal.1861仕様のスピードマスターの方が好きな人はもう既に在庫は市場に出回っているのみになります。今まで『スピードマスターはずっと変わらないから』と思って買うことを踏みとどまっていた人はこのタイミングがラストチャンスになるかと思います。
↑Cal.1861
↑Cal.3861
どちらのムーブメントを選ぶのか?
とても悩ましくもあり、しかし両方を比較して検討できるというある意味恵まれたタイミングでもあります。
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2.米ソ冷戦時代の宇宙開発
それでは惜しまれながら?もマイナーチェンジがされていくスピードマスターを忍んで
スピードマスターと宇宙開発の歴史を再度ご紹介していきます
第二次世界大戦後に始まった『米ソ冷戦時代』、アメリカとソ連は宇宙開発を競っていました。
大きな目的としては軍事利用がありました。
そのような状況の中、リードをしていたのがソ連でした。
ソ連は1961年4月12日、ユーリ・ガガーリンがボストーク3KA-2で世界初の有人宇宙飛行に成功した。
地球周回軌道に入り、大気圏外を1時間50分弱で1週した。
ちなみにガガーリンといったら『地球は青かった』のセリフで有名ですよね。
ただ、これ新聞に掲載されたルポの言葉で、直接的な日本語訳だと「空は非常に暗かった。一方、地球は青みがかっていた」となるそうです。
あと、余談ですが海外の方では『神はいなかった』というセリフの方が有名です。周回飛行中に言ったとされていますが、真偽は定かではないとのこと。
さて、ソ連に先をこされたアメリカは焦ります。
当時の大統領ケネディは首脳陣を集めます。
ソ連に先を超された失点をいかに挽回するかをもみました。
そして、宇宙委員会の議長であるジョンソン副大統領に5項目からなる質問が出しました。
1.宇宙に研究室を作るか、月をぐるりと回ってくるか、ロケットを月に着陸させるか、あるいは人間がロケットで月まで行き、帰ってくるか。
このうちのどの計画ならアメリカがソ連に勝つチャンスがあるか?
2.そのためにいくら費用がかかるか?
3.24時間体制で現行の宇宙計画を進めているか。もしそうでない場合は、なぜそうしないのか?計画推進をスピードアップさせるにはどうしたら良いか?
4.巨大ブースター棟を建造するにあたり、燃料は原子力を使うのか、固体燃料もしくは液体燃料、あるいはこれら3種類を合わせたものにすべきなのか?
5.現在われわれは最大限の努力を尽くしているのか?現在われわれは求める結果に近づきつつあるのか?
これからも見てとれるようにアメリカの悔しさと焦りが伺えます。
そして、ソ連から遅れること1ヶ月後の5月5日にアメリカ初の有人宇宙飛行が成功します。
と、言ってもこれは弾道飛行(大気圏を出て戻ってくるだけ)で飛行時間もわずかに15分22秒。
衛星軌道を周回したソ連よりも技術的に全然遅れをとっていることは誰の目にも明白でした。
そして、先ほどの大統領からの質問に対する答えが宇宙委員会から出されます。
この提言を受けてケネディ大統領は5月25日に有名な一般教科書演説を行います。
『わが国は有人飛行では遅れをとっています。
しかし、この60年代に追いつき、追い越してみせます!
どんな困難であろうと、わが国はこの10年が終わらないうちに、月に人を送り、無事に帰還させます!』
これにより、アメリカ国民は大いに沸きました。
この月まで行く計画がアポロ計画であり、実に50万人もの専門家がこの計画に携わったとされています。
1つの目標(仕事)の為に50万人が関わるって凄いですよね。
しかも、月に行く人の人数なんかはたかだか知れているのにです。。。
2-1.月に行く為の計画
さて、月に行くという目標は決まりました。
しかし、いきなりは無理なので、段階を踏んでいかないといけません。
■マーキュリー計画・・・有人で地球の周回飛行をする=ソ連に追いつく
■ジェミニ計画・・・宇宙船の外に出て活動する、宇宙船同士のドッキングをする
■アポロ計画・・・月まで行き、月に降り立ち調査活動を行う
このような計画が出されました。
マーキュリー計画自体は1958年から始まっていました。
ちなみに宇宙船なんて表現をしますが、ほとんどの方がイメージしているようなものとは違うと思います。
当時は宇宙開発の途上まっただ中。
こんな宇宙船。
もはや船というよりカプセルです。
こんな作りですからね、、、
大きなロケットをどんどん切り離していって 宇宙に行く頃にはこれだけになっているという。
なんとも凄い。
このロケットの先っぽが宇宙にいくのです。
そんな宇宙へ行くことが冒険活劇のような時代の話なのです。
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2-2.マーキュリー計画
さて、マーキュリー計画ですが
この計画にあたって、最初に選ばれた7人の宇宙飛行士がいます。
この7名をオリジナル・セブンと呼んだりもします。
この7名、どのように選抜されたのか?
当初NASAは空中ブランコの曲芸師を採用することを検討していたくらい、柔軟かつ体力のある人物を求めていました。
条件は大学を卒業したパイロットであり、宇宙船(カプセル)の大きさによる制約から身長180㎝以下、体重82kg以下が基準となりました。
69名の候補者の中から色々な試験を行い、残った7名は空軍出身3名、海軍出身3名、海兵隊出身1名という内容になった。
ジョン・グレン
アメリカが初の地球周回飛行を成功させたのが1962年2月20日
パイロットはジョン・グレン。
地球を3周、4時間55分の飛行でした。
ソ連のガガーリンが初飛行して、約1年遅れでの達成でした。
ちなみに、グレンは↑の写真のようにホイヤーの懐中ストップウオッチをテキスタイル素材に包み込み腕に巻いて宇宙に行きました。
この時の宇宙飛行士が身に着ける時計やストップウオッチは
NASAからの装備品ではなく、自分達で選んで着用していました。
スコット・カーペンター
グレンに続き、アメリカ人2人目の周回飛行に成功した宇宙飛行士となったのが
スコット・カーペンターでした。
1962年5月24日 グレンと同じ用に地球を3周、4時間56分の飛行でした。
そして、スコット・カーペンターが身に着けたのがブライトリングのナビタイマー・コスモノートでした。
先述したように、当時の宇宙飛行士が選ぶ時計は自らの選択。
訓練中に計算機能の付いたナビタイマーを見た彼は、完璧な時計だ!これで24時間表示なら間違いない!と思ったそうです。
そして、スコット・カーペンターは『24時間表示のナビタイマーを作ってくれ』と直接ブライトリングに依頼したのです。
ウォルター・シラー
スコット・カーペンターに次いで3人目のアメリカ人で周回飛行したのが
このウォルター・シラーでした。
1962年10月3日、地球を6周、9時間13分の飛行でした。
アメリカの宇宙開発も躍進してきたように感じますが
この頃、ソ連は4日間の宇宙滞在記録を更新していました・・・・
そんな時代、ウォルター・シラーが自ら選んだ時計が
オメガのスピードマスターでした。
第2世代のモデルです(Ref:CK2998)。
針がアルファ針になっていたのが他の世代のスピードマスターと違う特徴的なところです。
ちなみに、
マーキュリー計画、ジェミニ計画、アポロ計画の全ての計画において
地球周回軌道以上の宇宙飛行を体験した飛行士はシラーただ一人なんです!!
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2-3.ジェミニ計画
マーキュリー計画が終わり次の段階へと進んでいったのがジェミニ計画です。
先述したようにジェミニ計画では大きな目的は
1.長期間の宇宙滞在(月に行って帰ってくるまでと同じ時間)
2.宇宙遊泳によって宇宙船外に出ての活動
3.ランデブーとドッキングをする為に必要な軌道操作の技術開発
でした。
宇宙船(カプセル)はマーキュリー計画の1人乗りから2人乗りへと変わりました。
2人乗りって言ってもこれですからね。
このジェミニ計画においては
宇宙船外へ出る為、飛行士が身に着ける時計も装備品としてNASAが公式に認めたものを着用することとなりました。
NASAが挙げた条件は
1.24時間の誤差が±5秒未満(±2秒未満が望ましい)
2.クロノグラフ(秒、30分、12時間の積算計付き)
3.ステンレススチールのサテンケース
4.文字盤は白、黒どちらでも可(読み取りやすいもの)
5.機械式(手巻き、自動巻き)、電気式は問わないが、機械式の場合はマニュアルで巻き上げができること
6.気圧差に強い
7.耐衝撃性、防水性があり、クリスタルは粉々にならないこと
8.信頼性があるもの
ということでした。
候補に挙がったメーカーが
■ロレックス
■オメガ
■ロンジン
■ハミルトン
■ブローバ―
■ミドー
■エルジン
■ベンラス
■ルシャン・ピカール
■グリュエン
の10社でした。
NASAは1964年、この10社に上記の要望を添えたオーダーをしました。
この中で、NASAの要望に応えたのが
ロレックス、オメガ、ロンジン、ハミルトンの4社でした。
しかし、ハミルトンはNASAの挙げた基準に満たない時計を提出してきた(懐中時計を出してきた)ので耐久テストには進めませんでした。
そして、ロレックス、オメガ、ロンジンの3社が出してきた時計に対して
NASAは11項目からなる耐久テストを実施しました。
検査装置内の温度を70℃に設定し、時計を48時間放置する。
その後測定装置内の温度を室温に戻し、正しく作動するかチェック。
さらに内部を93℃に上げ、30分放置し、再度チェック。
装置内の気圧はほぼ真空状態に保つ。
検査装置内に時計を入れてから内部の温度を‐18℃に設定し4時間放置する。
その後装置内の温度を室温に戻し、時計の作動チェックを行う。
装置内の気圧はほぼ真空状態に、相対湿度は-15%以下に保つ。
時計を装置内にセットし、内部を真空状態に設定。
内部の温度を70℃から-18℃に下げ、45分放置。
そして再び70℃に上げ、45分放置。
このセットを15回繰り返す。その後装置内を室温に戻し
時計の作動チェックを行う。
20℃~38℃の蒸気が吹き抜ける検査装置内に、蒸気を入れながら2時間かけて温度を70℃に上げ、6時間放置。
酸素100%、0.35気圧、気温70℃という環境に設定された室内に時計を放置。
その間に明らかな燃焼、有毒ガスや不快な臭いの発生、結合部分や潤滑油の劣化が見られたときは、その時計は不合格になる。
検査装置に時計を入れ、着陸時の衝撃を想定し、時計に40Gの負荷を1000分の11秒、繰り返し6回かけていく。
そしてこれを6姿勢ごと1回ずつ行い、その後、正しく作動するかをチェック。
時計を検査装置内に入れ、333秒間の間に重力が1Gから7.5Gになるまで加速していく。
これを3方向から1回ずつ行い、その後作動具合をチェック。
検査装置内を0.35気圧に設定し、温度を70℃に上げていき1.5時間放置する。
さらに装置内の温度を93℃に上げて30分放置する。
この後正しく作動するかチェックを行う。
検査装置内を1.6気圧に設定し、最低1時間以上放置する。
その後、まず高圧環境により時計に不具合や破損個所がでていないかを入念にチェックし、最後に正常に作動するかをチェックする。
時計を検査装置内に固定し5~2000HZまでの間で振動数を変更しながら30分間にわたり振動を与えていく。
検査装置内に時計を入れ、40~1000HZの振動数の幅で、130デシベルのノイズを当てていく。
そして終了後時計が正しく動くかチェックする。
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この過酷なテストで最後まで動いたのがオメガのスピードマスターでした。
テストの結果は以下の通り
オメガ・・・減圧テスト中に21分進み、加速度テスト中に15分の遅れを生じた。テスト中にダイヤルの蛍光塗料が役目を果たさなくなった
ロレックス・・・相対温度テスト中に2度に渡って時計が止まった。高温テスト中に秒針がたわんで、他の針まで時計のダイヤルに引っかかり止まった。それ以上はテストは実施せず。
ロンジン・・・高温テスト中に時計のガラスが歪んで外れた。減圧テスト中にも同じ不具合が生じる。ここでテスト実施は終了。
ちなみに、ロレックスのデイトナは正式名が『コスモグラフ デイトナ』となっていますが
この『コスモグラフ』という宇宙を連想させるネーミングからもNASAに採用してもらいたかったのでは?ということがよく言われています。
Ref:ST105.003
スピードマスター3rd
このテストの時に使用されたのがスピードマスター3rdモデルでした。
そして、NASAの要望でリューズガードを備えたモデルへと変わります。
Ref:ST105.012
スピードマスター4th
これがリューズガードが付いたモデル。
こうして、NASAに選ばれたスピードマスターが宇宙飛行士の腕に巻かれることになったのです。
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2-4.アポロ計画
ジェミニ計画の成功を受け、宇宙開発においてアメリカはソ連よりも優位になりました。
そして、ついにアポロ計画へと進んでいきます。
最初は月へいく為のサターンロケットの開発と実験。
1968年には人を載せて月周回飛行の成功までいきました。
そして!
そしてついに、1969年7月20日 PM10:56
(日本時間7月21日 AM11:56 世界協定時刻7月21日 AM2:56)
人類が月の大地に一歩を踏みしめたのです!!
アポロ11号が人類初の月面着陸に成功します!!
この時の宇宙飛行士は
ニール・アームストロング
マイケル・コリンズ
バズ・オルドリン
そして、有名なあのセリフが出ます
『これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である』
言ったのはこの方、アームストロング船長。
名言です。
ちなみに月面に着陸したのはアームストロングとオルドリンでした。
コリンズは司令船で待機でした。
一番最初に月に降り立ったのはアームストロング船長でしたが、彼は自分のスピードマスターを月着陸船に置いてきていました。
月着陸船の機内時計が故障していたからだそうです。
と、いうことで次に月に降り立ったオルドリンが着けていたスピードマスターが初めて月に降り立った時計となりました!
↑月着陸船内のオルドリン
こうして、人類の大偉業でもある月面着陸をした瞬間を刻んだ時計、オメガ スピードマスター
こう振り返るとホント凄い時計です。
しかも、現行モデルもこの当時と基本仕様はほとんど変わっていません!!
スピードマスターとNASAのことだと他にもアポロ13号のことなど逸話が沢山あってここでは書ききれません、、、
また別の機会に。。。。。
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アポロ13号奇跡の生還とスピードマスター
アポロ13号とスピードマスターの逸話は各方面で語られているので、ここでは”WATCHNAVI salon”さんから転載させていただきます。
「アポロ13号」は1970年4月11日、米国中部時間13時13分にケネディ宇宙センター・第39発射台から打ち上げられた。クルーは船長のジム・ラベル、司令船操縦士のジャック・スワイガート、月着陸船操縦士のフレッド・ヘイズの3名で、ミッションの目的は月面の直径80kmにも及ぶクレーターがあるフラ・マウロ高地に降り立ち、様々なサンプルを採取することであった。
若干のトラブルに見舞われたものの、打ち上げは成功。工程も順調に進んで第3段ロケットを切り離し、これに格納されている月着陸船「アクエリアス」と、司令船・機械船からなる本船「オデッセイ」のドッキングも終えた。これにて航行態勢となり、一路、月に向かって進み始めた後の打ち上げから55時間55分後、突如その“アクシデント”は起こった。機械船に搭載されている2基の酸素タンクのひとつが、皮膜が剥がれたケーブルの放電によって燃焼。圧力の上昇によって爆発し、機械船の外壁パネルを吹き飛ばしたのだ。
アポロ13号において酸素は呼吸用だけでなく、水素と反応させて電力や水を作るための生命線ともいえるもの。この爆発で残されたもう1基の酸素タンクも損傷したほか、酸素と水素のタンクに連動した複数の電池によって稼働する2基の電源のうち1基は完全に機能を停止してしまった。残る1基も大幅にパワーダウンし、こちらも停止まで残りわずか。つまり電力も水も、呼吸に必要な酸素も失う窮地に陥ってしまった。
クルーの報告を受け、ヒューストンのNASA管制室では即座に対応を迫られることになった。機械船と統合された司令船には帰還時の大気圏突入用にバッテリーが備えられているが、余剰はないためこれを使うわけにはいかない。残された方法は、月面への着陸時に本船から切り離して使う月着陸船に搭乗員を移動させ、地球に帰還するというものだった。月着陸船には本船搭載の電力供給システムとは別途バッテリーが備えられており、これを利用する判断を下した。
この時点で本来の月面探査は当然中止。クルーがいかにして帰還するかのみが焦点となったが、月着陸船は本来司令船から月面への往復で2名のみが搭乗することを想定して設計されていたため、3名が想定時間を超えて搭乗するのは明らかに無理があった。時間に関していえば、爆発が発生した時点ですでに地球から32万1860km。宇宙船が“回れ右”をして最短で地球に引き返せる限界をとうに過ぎていたし、たとえそれ以前だったとしても、爆発を起こした本船のエンジンがフルスロットルで逆噴射をかけても大丈夫かどうか、保障はなかったのである。
最短で帰還する必要があったものの、消去法によって直ちに引き返すのではなく、そのまま月の軌道を周回し、通常の推進力で地球の重力圏に戻ることがベストとNASAは判断した。だがそれには最低4日間を要し、電力のほか水や酸素も足りない。アポロは通信装置以外の大半のシステムをオフにし、電力を極力セーブしながら地球を目指すほかなかった。クルー3名は、管制室の指示に従って司令船をシャットダウンすると、狭小な月着陸船に移動。月の裏側を回り、地球への帰還路に入った。水は最小限しか飲めず、暖房が使えないため船内は極寒の環境に。睡眠もままならず、極度の不安とストレスに苛まれながら管制室との交信を続け、地球帰還への対策をとった。
そののち、重大な問題がアポロに降りかかった。管制室からの知らせで、地球の大気圏に突入する際の角度が浅くなりつつある、というのだ。突入角度が浅いと大気の層に跳ね返され、待ち受ける運命は再突入まで2週間かかる別の軌道に乗るか、永久に帰還できないという最悪のシナリオ。爆発後、気体の漏出が微弱ながらも推力となり、船体の針路に影響したとも考えられたが、原因は不明だった。彼らが再び地球の土を踏むためには、船体のロケット・エンジンをよき按配で噴射し、軌道を修正するほかなかったのだった。無駄な電力が使えない状況下において、唯一無二のクロノグラフ「スピードマスター」が、地球帰還のカギとなるシーンがこの後訪れる。
クルー3名を救出したクロノグラフは、伝説的な存在に
地球帰還にはアポロ13号船体のロケット・エンジンを再度噴射させ、軌道修正を行う必要があった。地上のNASAでは管制官らとともに、非常事態を知り結集した宇宙飛行士らがシミュレーターを駆使して解決法を模索していた。そうして得られた軌道修正成功のポイントは“14秒間”。しかも決められたタイミングで、正確な方向で行われなければならないという結果に至ったのだ。
そして問題は単純ではなかった。電力をセーブするためシャットダウンしたシステムには、ナビゲーションシステムやクロックシステムも含まれていたのだ。さらに、こうした非常事態に有効と考えられる、恒星を目印にして針路・位置を見極める方法も、船外に浮遊する機体の粉塵に視界を遮られ、ままならなかった。そこで仕方なく視認しやすい地球と太陽の位置を頼りに噴射を行うことになったが、誘導システムを失った船体は思うように制御できず、とても一人で一連の工程をまかなえるものではないため、3名は役割りを分担することに。スワイガートが腕元のスピードマスターのクロノグラフを使って時間を計り、ヘイズとラベルが操縦やエンジンの噴射にあたることになった。(映画『アポロ13』にもこのシーンが登場し、スワイガート役のケヴィン・ベーコンがスピードマスターのプッシュボタンを威勢良く押しながら「カモンベイビー!!」のセリフを言う)
かくしてNASAの尋常ならざるテストに耐えたクロノグラフはその威力を遺憾なく発揮。命運を分かつ14秒を完全な正確さで計りきり、死の淵にあったアポロ13号にやっと光明が差しはじめたのだった。4月15日、米国中部時間10時31分のことである。
アポロ13号の生還劇は、まさに時間との戦いであった。無事に帰還できる軌道に乗ったとはいえ、大気圏に突入する前に司令船の電源をアップし、機械船と着陸船を切り離さなければならない。ミッション中に司令船の電源を落とし、再び立ち上げるというのは当然ながら前代未聞で、シミュレーションのデータもなければマニュアルもない。膨大な数のスイッチの操作手順をひとつでも誤れば再起動できない恐れもあり、地上でNASA当局が状況に即したものを夜に日を継いで作成中ではあったが、難航し、最終的な内容が無線でクルーに伝えられたのは、作業が間に合わなくなるまさに直前のことだった。
3人を乗せたアポロ13号の司令船は気体の摩擦熱による淡い炎に包まれながら大気圏を下降し、打ち上げから142時間54分後となる4月17日の米国中部時間12時7分、サモア諸島南東の海上に着水。待機していた強襲揚陸艦イオージマに救出された。絶体絶命の災禍をくぐり抜けたことなど素知らぬふうで、粛々と時を刻み続けるスピードマスターとともに。
あの奇跡から今年でちょうど50年になる。世界中が注目したこのミッションは“成功した失敗”とも称され、宇宙開発における危機管理の重要性を浮き彫りにし、先ほど打ち上げに成功した「クルードラゴン」の成功にも必ずや繋がっている。その一翼を担い、NASAの公式装備品として今なお活躍するスピードマスターは、正確で頑丈なクロノグラフにのみならず、誰しもが胸に刻むべき人類の叡智のシンボルとも称えることができる。
(出典:WATCHNAVI salon)
インターネットで『アポロ13号』で検索するとこの事故の色々な裏側の記事が出てきます。
いろんな記事を読むと実際には想像を絶する緊張感と本当に奇跡的な生還だったのだということがよく分かります。
そして、その生還にスピードマスターが担った役割はとても大きいものでした。たった14秒間、でも決して間違えることができない14秒間だったのです。
その功績の大きさからオメガはNASAからシルバー スヌーピー アワードを授与されています。
※シルバー スヌーピー アワードはNASAが宇宙開発計画やそのミッションにおいて、とくに安全の観点から功績のあった人々に授与する賞である。 受賞者には、宇宙服姿で宇宙遊泳をするスヌーピーのバッチが与えられる。
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4.歴代スピードマスター
第一世代
1957年に発売された初代スピードマスター。
業界初のタキメーターをベゼルに記載したモデル。
名前の通りモータースポーツでの使用を想定したモデルでした。
2017年には60周年を記念して忠実に復刻した限定モデルが登場しています。
第二世代
第二世代はアルファ針に仕様が変わり、ベゼルも黒くなりました。
NASAのマーキュリー計画でウォルター・シラーが着用していたモデルとなります。
現行の復刻モデル。Ref:311.32.40.30.01.001
アルファ針を使いリューズガードのないモデルが復刻として現行にラインナップされています。
第三世代
NASAが採用した時が三世代目のST105.003。
基本スペックは現行とほぼ変わらずです。
第四世代
その後1965年にはNASAからの要望でリューズガードが付いたST105.012へと改良。
ムーブメントは1957年の初代からレマニアのCal.321がこの第四世代目まで続きます。
その後1968年の第五世代目のST145.022でCal.321を改良したCal.861へ変更。
1997年からCal.861をロジウムメッキ仕様にしたCal.1861となっています。
Cal.1861を搭載したスピードマスター
昔からこれだけほぼ変わらず続いている時計というのも他に私は知りません。
そこが魅力的なモデルだと思います。
第五世代
そして満を持して登場した新作スピードマスター。
まだ、NASAが採用した実績はありませんが、間違いなく今後何かしらの宇宙計画で時計を必要とした時に採用されるのは間違いないスペックとなっています。
ちなみにこのモデルはアポロ計画でNASAが行った11項目のテストと同程度のテストをオメガが独自で行いクリアしています。
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5.装着インプレッション(旧型)
手巻き、プラ風防など色々な要素の為か意外と軽いんです。
ケース径が42㎜というサイズに対して装着感は良いと思います。
マットな黒文字盤に夜光の入ったインデックス、そして目盛りにしっかりと針が載っているので視認性は抜群にいいです。
真横から見るとこのような感じ。
ラグに対して裏蓋が盛り上がった感じに見えます。
一見、装着感が悪そうに感じるのですがラグより下に重心があり、手首に裏蓋を押し当てるように装着されるので着けた感じは安定しています。
ダイバー300Mと比較しても裏蓋が膨れている感じが分かると思います。
やはり、斜めのこの角度から時計を見た時のこの瓶底のようなプラ風防の雰囲気が個人的には好きです。
時計って正面から見ることより、斜めの角度から視界に入ってくることが多いので
この斜めの角度からの見た目というのも個人的な重要ポイントなんです。
そして現行モデルはブレスもしかっりとした作りになっています。
駒も以前はピン止めでしたが現在はネジ止め。
経年によっての劣化リスクは軽減しています。
1つ残念、というか個人的な好みでしかないのですがここが。。。というのがバックル。
2重ロックのバックルが好きなんです。
プッシュ式のバックルは開閉が楽ですが2重ロックに比べると構造が複雑で経年劣化のリスクが上がります。
まぁ、でもここは本当人それぞれの好みの領域ですね。
装着インプレッション(新型)
やっぱりカッコいいですね。
こうしてパッと見ても昔から変わらない【スピードマスター】と言ったたたずまい。
モデルチェンジしようともスピードマスターはスピードマスターと直感的に感じさせてくれるデザインです。
ブレスレットの駒が小さくなり、着け心地が大幅にアップしました。
バックルにかけて大きくシェイプされているのも新型の特徴です。
こちらがバックル。
バックル側の幅は15㎜。以前は18㎜だったのでかなり印象が変わります。
ラグからバックルにかけてブレスレットの幅があまり変わらないとスポーティーな印象になります。
逆にラグからバックルにかけてシェイプされているとエレガントさが増します。
最近のスポーツウォッチの傾向ですが、このバックルにかけてのシェイプを意識してエレガントにしている時計が多いようです。
この新型のスピードマスターも同様にバックル側をシェイプさせることで道具感のあるディテールの中にさり気ない艶っぽさがあるように感じます。
個人的に着けて感じる部分の旧型と大きく違う部分がこのラグ部分。
ポリッシュしている部分の面が大きくなっています。以前はラグ先がシャープな印象となっていましたが今回はしっかりとした印象。
ケースの厚さは若干薄くなっています。意識しないとこの厚さの違いは感じないかもしれませんが確実に着けやすさに繋がっています。
文字盤の外周に段差が付いた『ステップダイアル』に合わせて針先も曲げられています。
随所に拘りを感じられる仕様。
旧作も捨てがたいですが、個人的にはやっぱりこの新型はかなり好きです!
ちなみに旧作までは時刻合わせの際にリューズを引き出しても秒針が止まりませんでしたが
新型はハック機能が備わり、リューズを引き出すとちゃんと秒針が止まります。
旧作までのスピードマスターを過去の遺産だと思っていた方にも、今回の新型はちゃんと現代的な機能とスペック、クォリティをもったモデルとなっています。
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6.321搭載スピードマスター
311.30.40.30.01.001
オメガは2020年に伝説のCal.321を復活させました。
そのムーブメントを搭載したモデルが上記のスピードマスターです。
デザインは1965年にアメリカ初の宇宙遊泳を成功させたときのモデル同じスピードマスター3rdモデルを踏襲しています。
インデックスやリューズガードなど細かな部分が現在定番のスピードマスタープロフェッショナルとは違いがあります。
随所に拘りが見られる321搭載のスピードマスター。
本数限定の商品ではないのですが、Cal.321は、オメガのキャリバー321工房内で全ての組み立て工程を一人の時計職人が行います。
つまり生産量がめちゃくちゃ少ないのです。
非常にレアなタイムピースとなります。
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7.まとめ
宇宙が好きな私ですが
1960年代、当時の宇宙飛行士たちになりきって考えると
実際に宇宙に行くということはとてつもない覚悟や恐怖みたいなのがあったのだろうな、、、、と思います。
密閉された狭い空間(宇宙船)の中で、頼れる人も数多くいなく(マーキュリー計画は1人、ジェミニ計画は2人、アポロ計画は3人)
何か1つの小さなミスがすぐに死に直結するような、
そんなミッション・・・・・
そのようなミッションにおいて腕時計というものは凄く精神的な支柱になる装備品の1つだったと思います。
そんな頼りになる時計。
宇宙を感じれる時計。
それがスピードマスターだと思います。
時計業界にはオリジナルとは仕様がだいぶ変わってしまった歴史あるモデルも数多くありますが
スピードマスターほどオリジナルを守りつづけながら、時代に即した微細な仕様変更だけをしてきたモデルは他にはないと思います。
そこが魅力の一つではないでしょうか。
また、『自分は宇宙に行かないし』とスピードマスターを前にして思う人もいると思います。
しかし、現代社会は宇宙開発の恩恵を受けたものばかりです。インターネットや携帯電話のGPSもそうですし、
あらゆる便利なものが宇宙開発との繋がりがあります。
そんな宇宙開発を支えてきた時計。
時代が変わろうともスピードマスターが持つその偉大な功績は色褪せることがないものです。
そしてそんな伝説と誇りを持った時計を身に着けることで自分自身を奮い立たせてくれる、そんな時計なのではないでしょうか。
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