ワインディングマシーンは必要か?不要か?
こんにちは。
スリーク飯田です。
いつもご覧いただきありがとうございます。
時計をお持ちの方からよく聞かれる質問があります。
『時計を週に2日くらいしか使わないのですが、止めないでワインディングマシーンにかけていた方がいいですか?』
と言うような内容。
ワインディングマシーンはその名の通り自動巻き機。
時計が回転して、自動でゼンマイを巻きあげてくれるマシーンです!
Q1,時計を止めておいた方がいいのか
Q2,時計を動かしておいた方がいいのか
Q3,ワインディングマシーンにかけるべきか
Q4,ワインディングマシーンにかけないべきか
この問いには
色んな人の色んな意見があり賛否両論です。
で、
個人的な意見を言わせてもらいますと...
①止まっている時計のゼンマイ巻き上げと時刻合わせが面倒でなければ止めておけばいいし
②止まっている時計のゼンマイ巻き上げと時刻合わせが面倒な人はワインディングマシーンにかければいい
そのように思っています。
①の場合ですと、止まっている間は機械内部の油の汚れが出ないのでオーバーホールするまでのスパンを少し長めにみてもらっても良いようです。
ただ、ねじ込みリューズなどの場合だとリューズ部分の消耗が多く、リューズが早い段階でダメになる可能性も。だからリューズ操作は丁寧に行うのを心がけて欲しいです。
②の場合は自動車で言うならば常にアイドリング状態であるわけで、機械的な部分の消耗は早くなります。また、安いワインディングマシーンよっては時計に磁気帯をしてしまうような粗悪品もあるようなので気をつけた方が良いです。
それと10万円以上するような高級なワインディングマシーンでないと、2~3年でモーターが駄目になってしまうものも多いようです。
さて、
そのような話題からもう少し突っ込んだお話しをさせていただきます。
『自動巻きはローターで巻き上げる方が良い!!』
と言うことです。
これは私も以前はわからなかったのですが
どうやら自動巻きの機械の多くは手巻きにはそんなに適した構造ではないようです。
↑この図面は時計の機械の内部構造です。
香箱というのが時計の主ゼンマイが納められている歯車です。
その上に『角穴車』というのがあります。
香箱真にとりつけられており、ゼンマイを巻きあげる為の歯車です。
手巻きの場合はリューズを介した歯車と連動し
自動巻きの場合は自動巻き機構の歯車と連動することで
ゼンマイを巻きあげます。
この、角穴車が結構曲者なのです。
自動巻き時計の場合、手動でゼンマイを巻きあげると
この角穴車にかかる負担が大きく、破損してしまうケースがあるようです。
以前、僕が経験した事例でいいますと
セリタのSW200という機械をベースムーブメントにした時計の場合
↑SW200
角穴車の歯が欠損してしまい手巻きできないという故障がありました。
この方の場合、3度目の同じ故障。
メーカーの見解では『なるべく手巻きはしないでください。するにしてもあまり巻きすぎないでください』
(@_@;)!!!!!!
なにーーーーー!!!????
そんなことをメーカーが言ってしまうのか?
このセリタのSW200はご存知の方も多いと思いますが基本設計はETAの2824と同じ。
↑ETA2824
ETAの2824では同じような症状なんてほとんど聞いたことがなかった私は
すぐさまH師匠に相談。
H師匠はさすがでした。なんでも知ってますね。
どうやら2824の角穴車は凄く頑丈に作られているらしい。
しかしセリタとかの角穴車はそこまで頑丈に仕上げてないので手巻きをしているとそのような症状がでるとのこと。
おそらく、セリタも今後は改善していくとは思うのですが
さすがはETAですね。蓄積されたノウハウが違うんだと思いました。
しかし、
H師匠いわく、ETAでも基本的には自動巻きの時計は手巻きはしない方がいいですよーとのこと。
あと、ムーブメントに対してケースが大きすぎると巻き芯が長くなり、そのせいで各穴車にかかる負担が大きくなり故障もしやすいと。
リューズが大きすぎるのも良くないと言ってましたね。
角穴ちゃん。意外と繊細な部品のようです。。。。
てなわけで、
自動巻きの時計は一番いいのは止まらない程度に頻繁に身に着けてあげれた方がいいようです。
しかし、そうは言っても
愛好家の方たちは複数所有しているわけで、そんな簡単には行きません。
なので、
リューズでゼンマイを巻きあげる時は
優しく丁寧に、を心がけましょう!
まぁ、こんなことを書いていると
読んだ人は『機械式時計ってめんどーだなぁーーー』ってマイナスに思ってしまうかもしれませんが
そんなところも含めて愛着が湧くのが機械式時計だと思います。
機械式時計なんかよりも
もっと面倒なのが『人間』。
そんな人間関係の中で社会を生きている皆様なら
機械式時計の魅力は分かってくれるはず!
と、思っております。
機械式時計の魅力はコチラから
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