ユニタスとパネライ
こんにちは。
スリークの飯田です。
みなさん時計が好きな方なら一度は聞いたことのある『ETA(エタ)』。
ムーブメントを作る会社です。
その昔、1970年にクォーツが台頭してきてスイスの色々なムーブメントメーカーが集まって今のETA社となっています。
色んな時計ブランドがこのETAのムーブメントを使って時計を作っているので
汎用ムーブメントとしてたまに蔑んだ目で見る方もいらっしゃいますが
ETAには名作のムーブメントが数多く存在します。
そんなわけで今回はETAのユニタスムーブメントを使用しているこちらの時計を紹介すると共に
ユニタスを少し勉強したいと思います。
PANERAI
ルミノール ベース ロゴ
PAM01000
44㎜
100M防水
ベーシックな2針モデル。
しかも手巻き。
無駄を極限にそぎ落とした正に実用時計らしい作りの一品です。
実用時計というのは時計=装飾品ではなく時計=道具としての考えです。
そんな実用性を考えるとこのPAM01000は非常に優秀な実用性をもっているんです。
道具はシンプルな方がいいです。
どんなモノでもシンプルな方が壊れにくい、使いやすい、見やすい。
この時計はまさにそんなモデルです。
ケースの作りに関しては
曲線的な立体感のある1950ケースと比べると平面的なケースなので
造形的な美しさは1950ケースよりは劣ります。
しかし、1950ケースなのか否かは実用度には全く関係なく
古典に対する懐古的な思いだったり
造形的な好みでの違いでしかなく
コストのことを考えれば1950ケースでない方が安くは上がります。
そしてこの時計に搭載されているムーブメントこそがユニタスなのです。
ユニタスとはスイスのムーブメントメーカーで、昔は懐中時計のムーブメントに定評のあったメーカーでした。
数十年前に他のムーブメントメーカーと同じようにETAに吸収合併されましたが、現在ETAで作られているユニタス時代の手巻きムーブメントを『ユニタス』と呼んだりします。
現在はETA6497という品番のムーブメントが一般的なユーザーの間で言われている、いわゆる『ユニタス』なのです。
このETA6497ですが、10~50万台の手巻きの3針モデルによく搭載されています。
↑これがETA6497の素の状態です。
このETA6497にもETA6497-1とETA6497-2があります。
6497-1は振動数が18000振動、42時間のパワーリザーブ。
それを改良したのが6497-2で、振動数は21600振動、56時間のパワーリザーブとなっています。また脱進機やテンプの素材も変更されています。
6497-1は18,000振動 42時間パワーリザーブ
6497-2は21,600振動 56時間パワーリザーブ
で、パネライはこのETA6497-2を使用しているのです。
この6497-2を使用しているのはパネライくらいのようです。
もともとは1968年に出たムーブメントなのですが基本設計は30年代に出来ており
テンプが大きいので名機中の名機です。
これがETA6497-2をベースにしたムーブメント。
パネライではOPⅠやOPⅡといったムーブメント名になっています。
かつてパネライでは
このOPⅠやOPⅡをさらにグレードアップさせたムーブメントをOPⅩやOPⅪとしてPAM00112などに使用していました。
↑こちらがPAM00112に搭載されているムーブメント。
パッと見た感じでわかる違いといえば受け板の形状。
他にはテンプの部分の緩急針がスワンネックになっています。
緩急針って?と言うことに関してはコチラ(⇒http://www.tokeizanmai.com/regulator.html)
のサイトにわかりやすく書いてありますので見てみてください。
時計の精度を司る重要な部分がテンプです。
そのテンプの精度調整を行うのが緩急針です。
↑通常はこのようになっています。水色が緩急針です。
この緩急針のお尻の部分を+か-にずらすことで時計の速度を速めたり、遅らせたりします。
↑コチラがスワンネック緩急針。
左側にあるネジを回すことで緩急針のお尻を動かすのですが
ネジ回しで調整するので微調整がしやすいのです。
アンティークの時計とかにはよく見かける仕様です。
このような違いを説明するとOPⅩやOPⅪの方がいいじゃん!
と言う方もいるかと思います。
ただ、冒頭でも述べましたように『道具』として実用性を追求していくのなら
変にコストをかけずに性能が同じなら簡素化させた方が理にかなっているというもの。
今ではパネライも自社ムーブメントの方に比重を置いているので
このユニタスベースのムーブメントもいつまで使われつづけていくのかわかりませんが
個人的には好きなムーブメントですのこれからも使用していってもらいたいものです。
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