ナビタイマー進化論Vol.2
こんにちは。
スリークの飯田です。
突如として始まった、この連載。
ブライトリングのファンの皆さんはもう既にチェック済みだと思いますが
今年発表のあったナビタイマー8。
このナビタイマー8が誕生する背景、ナビタイマーとは一体何なのか?
ナビタイマーの歴史を振り返りながら何回かに分けてお伝えしていきたいと思います。
前回はコスモノートまで話しましたが、宇宙好きな私、、、、
もう少しだけコスモノートのことを
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続・コスモノート
前回、コスモノートのお話しをしました。
もう少し歴史の話をしますと
時代は米ソ冷戦時代。
1961年に一足先にソ連が有人による周回飛行を成功させます。
その時の宇宙飛行士がユーリ・ガガーリンです。
『地球は青かった』の名セリフで有名ですね。
ソ連に先を越され、焦ったケネディ大統領が首脳陣を集めて 意見を出し合い、
導き出した方針が 『1960年代のうちに人類を無事に月まで送り届け、生還させる』というものでした。
そこからアメリカの怒涛の宇宙開発が始まったのです。
マーキュリー計画、ジェミニ計画、アポロ計画と続き、
アポロ計画においてついに1969年7月、アポロ11号が月面着陸を果たすのです。
ニール・アームストロング船長の 月に降り立った時の
『一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ』
は有名ですね。
この7名。
マーキュリー計画による選出された7名で オリジナル7と呼ばれています。
マーキュリー計画ではまずはソ連が成し遂げている地球の周回飛行を成功させることが目的でした。
この時は宇宙飛行士が身に着ける時計などは個人に任されており、必要な装備品として供給されていたものではありませんでした。
その中でスコット・カーペンターに選ばれたのがブライトリングだったのです。
コスモノートはスコット・カーペンターが『24時間表示のナビタイマーを作ってくれ』と直接ブライトリングに依頼したのが始まりです。
よく定説としては『昼夜の区別かつかない宇宙で使用するから』と言われています。
ただ、個人的にはその解釈は少し違うのではないかなぁ・・・と思っています。
まず、日本人には馴染みが少ないですが
13時とか14時とか24時間で時間を表記するのはアメリカなどでは軍隊くらいです。
基本、AM、PMを使い分けるので24時間表記で時間を言ったりすると
『あなたは軍人?』と聞かれるのがアメリカ。
だから24時間表記は『ミリタリータイム』と呼ばれます。
で、
当時NASAの宇宙飛行士たちは軍などから選抜されており、
その訓練における時間の表記などはミリタリータイムだったんじゃないかな?と勝手に思ってます。(調べてませんが、、、)
だから24時間表記の時計が良いと判断したと思います。
司令室とのやり取りにも手元にある時計は24時間表記が良いと判断したのだと。
だって
実際にスコット・カーペンターが宇宙飛行したのは5時間ちょっとだけですからね、
『昼夜の区別のつかない宇宙においての使用を考えて』というよりは
ミリタリータイムを見る時計としての役割が大きかったかな?と。
あとは
1人がやっと乗り込めるような狭いカプセルのような当時の宇宙船。
間違いなく生死をかけた極限の精神状態において腕時計は最も信頼のおきたいバックアップ計器だったはず。
そんな時計だからこそ、閉ざされた空間の中で24時間で時間を表示してほしいと思ったのではないか?と思います。
何となくその感覚わかりますか?
あとは、もしかしたら、地球に帰還した際(基本は海に着水してあとでNASAに回収されるのですが)に回収隊がなかなか来ないで漂流してしまったら24時間表示の時計が頼りになる!と思ったのかもしれません。
ま、実際は着水した際に当時のコスモノートは非防水なので水が入ってしまいましたが、、、、
着水して回収されるところのスコット・カーペンター
と、そんなふうに24時間という時間や宇宙などに想いを馳せるとより魅力を感じるコスモノートです。
ちなみに宇宙飛行士でもアストロノートとコスモノートという表現があります。
ロシアで訓練した宇宙飛行士をコスモノート、
アメリカで訓練した宇宙飛行士をアストロノート
と言います。
スコット・カーペンターはもちろんアストロノートだったのですが、手元に届いた時計にはコスモノートと。。。。
でもスコット・カーペンターはロシアの宇宙飛行士のこともリスペクトしており、
国同士は争っていても自分はロシアとの友好の証としてこの時計をコスモノートというモデル名のまま身に着けようと思ったそうです。
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自動巻きナビタイマー
前回は1962年のコスモノートで終わりましたが
その後のナビタイマーはどうなっていったのか見ていきましょう!
ご存知の方も多いと思いますが1969年に『世界初の自動巻きクロノグラフ ムーブメント』と銘打って
ブライトリング、ホイヤー、ビューレンの3時計メーカーとデュポア・デプラ社で
開発した『キャリバー11』、通称『クロノマチック』が発表されました。
ちなみに、アポロ計画でアポロ11号が月面着陸に成功した年ですね!
マイクロローターを搭載した機械でして、
特徴としてはリューズが左側になっていることです。
これは構造上仕方なかったようなのですが、左腕に時計を巻いた状態でリューズを回せない(ゼンマイが巻けない)というのはある意味『自動巻き』だというアピールにもなるし、良いのではないか?!という判断だったようです。
ここらへんがキャリバー11を搭載したナビタイマーです。
それまで手巻きだったナビタイマーが自動巻きに進化したのです!
上段のナビタイマーは1952年に誕生したナビタイマーの意匠を濃く受け継いでいますが
下段のナビタイマーはちょっと雰囲気が違うと思います。
これは60年代後半から70年代前半にかけて流行した『サイケデリックファッション』の影響です。
この時代はブライトリングに限らず、多くのメーカーがサイケデリックな時計を出しています。
有名なタグ・ホイヤーのモナコもこの時代の時計です。
ちなみに、下段のサイケなナビタイマーは防水ケースとなっています。
サイケなファッション性と防水機能、これもナビタイマーの進化ですねっ!!
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クォーツ時代のナビタイマー
時計好きの方ならご存知かも知れませんが、世界初のクォーツ時計が誕生したのが1969年。
そう、ブライトリングが自動巻きクロノグラフムーブメントを発表したのと同じ年なんです。
(そして月面着陸が成功した年・・・・)
1970年代に入るとクォーツが世界中を席巻していくようになります。
時間の精度が高い、安い、これらの要素が多くの人達に受け入れられていくのであります。
俗に言う『クォーツショック』というやつです。
しかし、私が敬愛する方はこれを『クォーツレボリューション』と呼びます。
便宜上、私もクォーツショックとは言ったりしますが、レボリューションの方がしっくりきます。
そんなクォーツレボリューションの波も当然のことながら、我らがブライトリングに押し寄せてきます。
↑1973年、ナビタイマーもクォーツムーブメントを搭載して進化致します!
LEDを搭載したナビタイマー。
1977年にはLEDではなく、LCDを搭載したナビタイマーLCDが発表。
機械式のインダイヤルがあるクロノグラフが『ナビタイマー』と感じる方も多いかもしれませんが
これらも紛れもない『ナビタイマー』です。
ちなみに、今年発表された3針のナビタイマー。
クォーツのナビタイマーを見ていると
このモデルもデザイン的にナビタイマーらしいと思えませんか?
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と、本日はここまで。
今回、この連載を書きながら、改めて私自身『ナビタイマーってなんだろう?』と考えております。
『計算尺+クロノグラフ=ナビタイマー』これがナビタイマーの条件と思っている方も多かったのかな?と思います。
しかし、実は調べていけば調べていくほどそうではない、と。
次回からはそこらへんも書けたらと思っております。
『ナビタイマーとは何か?』その答えを探しながら連載しますので、変な内容になるかも知れませんが次回以降も是非お付き合いください。
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私が書いた他のブライトリング関連ブログも是非ご覧ください。
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