ナビタイマー進化論Vol.6
こんにちは。
スリークの飯田です。
ようやく・・・
もう??
最終回ですっ。
今までもご覧いただいてくださっている皆様ありがとうございますm(__)m
今年発表のあったナビタイマー8。
このナビタイマー8が誕生する背景、ナビタイマーとは一体何なのか?
ナビタイマーの歴史を振り返りながら6回に分けてお伝えしてきました。
今回が最終回。。
皆様にナビタイマーの魅力、ナビタイマー8の魅力が伝わりますようにっ!!!
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ユイット・アビエーション
前回は『ナビタイマー8』は紛れもない『ナビタイマー』であり、
『ナビタイマー』の正当かつ新たな進化形のカタチということをお伝えいたしました。
では、
このナビタイマー8、このモデルはどのような遺伝子を引き継いで生まれてきたのでしょうか。
永年のブライトリングファンでもユイット・アビエーション部門と聞いても
ピンとくる人はいないのではないでしょうか。
今回の新作ナビタイマー8はこのユイット・アビエーションからインスパイアされて生まれたシリーズなのです。
***ユイット・アビエーション部門***
1938年に三代目ウィリー・ブライトリングが設立した航空用時計の部門。
当時、軍民両用のオンボードクロックなどを担当していた。
デジタル機能のない当時のコックピットにおいて、非常に重要な存在であったダッシュボードクロックを製作。
技術力の高さと品質の良さで注目を集めていた。
『ユイット』とはフランス語で『8』を意味する。
当時の航空機のダッシュボードに装着する計器類のパワーリザーブは8日間持続するように作られており、そこから名づけられたネーミング。
視認性や耐久性に優れた多数の航空計器を開発し第二次世界大戦前には、英国王立空軍からクロノグラフの大量発注を受けるようになる。
↑1941年の広告。8日巻きのダッシュボードクロノグラフを紹介
↑ユイット・アビエーションで作られたダッシュボードクロノ
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奇才のデザイナー
ユイット・アビエーションを再発見、再構築していく中でナビタイマー8はデザインされていきます。
そのデザイン的な要素に取り入れられたのはダッシュボードクロックだけではありません。
Ref.768
1941年のカタログに載っているパイロット用腕時計。
モデル名もない品番だけの通称『リファレンス768』。
このモデルもモチーフにされているのです。
3針のRef.768がモチーフであり、だからこそナビタイマー8には3針のモデルがあるのも納得なのです。
このデザインを手掛けたのが
デザイナーは奇才『ギ・ボーヴェ』。
IWCやショパールのデザイナーを歴任してきた人です。
こうやって見ると確かにデザインのモチーフにしたのが分かります。
特にアラビア数字の書体や針の形状などは意識しているのが伺えます。
この768と当時のダッシュボードクロノのデザイン要素を上手く取り入れていると感じます。
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なぜナビタイマー?
そして、改めて思う人もいるでしょう。
初代のナビタイマーが誕生したのは1952年。
それよりも10年以上も前の時計をモチーフにデザインされたモデル(ナビタイマー8)に
なぜ『ナビタイマー』の冠を付けたのか??
と。
①ナビタイマーとはパイロットを象徴するモデル
NAVITIMERの語源でもある
◆NAVIGATION(ナビゲーション=航空術)
◆TIMER(タイマー=時間計測)
この2つの単語を
◆ナビゲーション=航空計算尺
◆タイマー=クロノグラフ
と、捉えて認識してきた人達が多いと思いますが、
飛行機の種類やパイロットの役割などが変われば必要とされるものも変わるはず。
もっと、ナビタイマーの語源を広義に捉えると
◆ナビゲーション=回転ベゼル
◆タイマー=時間表示
と、捉えることもできるのではないでしょうか。
パイロットが必要としているものが必ずしも航空計算尺+クロノグラフではない。
事実、50~60年代はコ・パイロット(アヴィ)がパイロットに愛用もされていた。
もし、この理屈が通るならば機能的にはスーパーオーシャンも”ナビタイマー”と呼べるのかもしれない。
しかし、ナビタイマーという名称にどのような想いを込めたのか、込められているのか。
それは今も昔も変わらず、
空を飛ぶパイロット達への畏敬の念であり、彼らに向けた情熱の現れ
のように思われるのです。
そのようなことを考えてみても30~40年代のユイット・アビエーション部門やRef768など
航空計器から由来する今回の『ナビタイマー8』は間違いなく『ナビタイマー』なのであると思えるのです。
②時代を切り開いていくブランドの代表作
また、かつて
世界初の自動巻きクロノグラフムーブメントに防水ケースを与えた『ナビタイマー クロノマチック』であったり
エレクトロニクスムーブメントを搭載したデジアナのクロノグラフ、『エアロスペース』に
NAVITIMERの文字を記載したり
これらの過去を見てきても、ブライトリングは時折、その野心的な新作に『ナビタイマー』の名称を使ってきています。
そのようなことを考えると新生ブライトリングの今回のナビタイマー8も今後のブランドを占う大きな意味を持つモデルであり
ナビタイマーという名称が与えられたのも当然と思えてくるのです。
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Bロゴはなぜ?
さて、ナビタイマー8がナビタイマーである所以を語ってきましたが
成熟した元祖ナビタイマーとも言うべきナビタイマー01についても最後に語っておきたいと思います。
↑これが今年マイナーチェンジのあったナビタイマー01です。
今後の正式名称は『ナビタイマー1 B01』となるようです。
↑右のモデルが今までのナビタイマー01ですが、どこがマイナーチェンジになったのでしょうか。
新しいナビタイマーの変更は大まかには以下の3つ
◆ロゴマークの変更
◆インダイアルの書体と向きの変更
◆カレンダーの書体の変更
カレンダーやインダイヤルの書体の変更はナビタイマー8など他の新作のモデルと合わせて共通にしています。
これはブランディングの上で重要な点で、今までブライトリングの書体はモデルによって変わったりしていたのですが
実はそれは珍しいことで、基本このように統一してくるのが望ましいとされています。
また、ロゴの変更はナビタイマーに限らずコーポレートロゴが変更に伴うもの。
今後のブランドの方針でもあります。
実はこの『B』ロゴ、1940年代~1980年代まで永らく使われていました。
1942年にクロノマットが登場した時には筆記体のロゴでした。
しかし、このクロノマットですら1945年製の物では『B』ロゴになっています。
そして、50年代、60年代と使用されていきます。
↑60年代のアヴィ
そして、私が確認できたところで行くと72年のカタログにも『B』ロゴは健在でした。
経営がウィリー・ブライトリングからアーネスト・シュナイダーに代わり、1984年に発表した初期のクロノマットも『B』ロゴ。
↑1984年のクロノマット。
ま、このクロノマットの場合は『B』ロゴと、初期のナビタイマーに記載されたAOPAの『翼』ロゴの両方がありますが。。。
そして、これ以降に皆さんのイメージにある翼ロゴがコーポレートロゴとなり、時計にも刻まれるようになっていくのです。
ただ、コーポレートロゴが翼になってもスーパーオーシャンヘリテージなど、クラシカルなモデルには『B』ロゴが採用されてきていました。
つまり、何が言いたいかと言いますと『B』ロゴはブライトリングの歴史の中でもこれだけ永く使用されてきた伝統的なロゴなのです。
そして、この伝統的なロゴが今回コーポレートロゴとしても復活したのです!
そのロゴがナビタイマーに採用されたというわけです。
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最後に・・・・
連綿と進化しながら受け継がれてきた『ナビタイマー01』。成熟したこのナビタイマー01に関しては現状すでに手を加えられる箇所がない。
唯一、ブランド内の統一化を考え、書体やロゴの統一といった修正くらいしかできなかった、というところだと思います。(クロノ針は後々変更になるかもしれないと個人的には思っていますが・・・)
そんな成熟した『ナビタイマー』
その新たな方向性として、生物の進化と同じように枝分かれした進化モデルが『ナビタイマー8』なのです。
それでも、まだ『航空計算尺のない時計にナビタイマーという名前を付けるのには抵抗がある!』と思っている方がいましたら・・・
これを見てください。
このモデルの名前はご存知ですよね?
誰が見ても『クロノマット』とおっしゃるはずです。
このモデルが『クロノマット』という名称であることに抵抗を感じる人もいないだろうと思います。
では、
このモデルは何というモデルでしょう?
はい。何度か紹介していますが、初代の『クロノマット』なのです。
90年代以降、このデザインをモチーフにして復刻したモデルには『モンブリラン』という名称を与えた為、
現行のクロノマットのデザインが『クロノマット』という名称のイメージになるようになってきました。
でも、もし現在のモンブリランを『クロノマット』という名称に変更したらどうでしょうか?
↑これを『クロノマット』と名称変更をしたら?
おそらく、抵抗を感じる人が多いと思います。
でも、どちらかと言うとデザイン的な意味で言ったらモンブリランの方が正統?伝統?な『クロノマット』だと思います。
何が言いたいかと言いますと
人は、変化を嫌う生き物です。自分の固定概念をなかなか壊せない生き物です。
だから、抵抗を感じるのです。
でも、変化というものは時間の流れ、時代の変化と共に受け入れられていくものです。
つまり、今回の新作ナビタイマー8も、もしまだ抵抗を感じている方がいましたら、その抵抗も楽しみながらこれからのブライトリングを見ていてください!
いつしか、ナビタイマー8を見て、誰もがナビタイマーだと感じている日が来ます。
そして、私たちはこの先も永い歴史を刻んでいくであろうブライトリングの中で、とても大きなターニングポイントとなるモデルと出会ったのかもしれません。
その尊さや、価値は、後になって気づくのかもしれませんが・・・
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私が書いた他のブライトリング関連ブログも是非ご覧ください。
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