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Bell & Ross 妥協なき機能美 その軌跡に迫る

2021.01.01

プロの道具としての機能とデザインを追求し、各国の軍や特殊部隊から高い信頼を寄せられる。さらにスタイリッシュさも併せ持つベル&ロスの歴史は、様々な人との出会いの歴史だった。

 

 

時計制作への情熱と人との出会いがブランドを支え続ける

 

 

高校時代に語り合った盟友との夢が現実に

 

 ブランド名は、2人の創業者の愛称に由来する。デザインを担当するブルーノ・ベラミッシュ氏と経営を担うカルロス・ロシロ氏、彼らは高校時代からの盟友である。お互いに航空機やアビエーションウォッチに興味を持っていたことから、意気投合したという。高校卒業後、ベラミッシュ氏は国立のデザイン大学に進学。そして卒業プログラムで必須であったインターン先として彼が選んだのが、かねてからデザインに惹かれていたドイツの時計会社ジンだった。

 

 一方のロシロ氏は、ビジネススクールに進学することに。卒業後は、投資銀行で財務と経営のキャリアを積んでいた。そしてベラミッシュ氏に再会し、時計への熱い情熱を聞いたロシロ氏は、2人で時計ブランドを設立することを決意。こうして1992年、パリにベル&ロスの小さなオフィスが誕生、後に1994年にベル&ロスを正式に設立となった。

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ブルーノ・ベラミッシュ氏 1965年生まれ。国立デザイン大学ENSCIで工業デザインを学ぶ。

ベル&ロスの設立から現在まで、クリエイティブディレクターを務める。

 

 

 

 彼らのオリジナルウォッチが、実際に形になったのは1994年のこと。時計製作のノウハウも技術も設備も持たない彼らに手を貸したのは、ベラミッシュ氏がインターンで訪ねたジンの創業者ヘルムート・ジン氏だった。最初に制作された500本のオリジナルウォッチのコレクション名は、「ベル&ロス by ジン」。その後も、ジンの協力のもとで新作を発表していく。

 

 

 そんなベル&ロスに1997年、大きな転機が訪れた。スイスに時計工場も持つシャネルのオーナーが、彼らの時計に興味を示したのだ。この出会いによって、ベル&ロスは安定した経営体制を手に入れた。さらに2002年、ラ・ショー・ド・フォンに新たな製造拠点が完成。ここで時計の開発から組み立て、最終調整まで優れた技術で行われる。ベル&ロスは、フランスを代表する時計ブランドへと成長を果たすことになる。

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ベル&ロスの代表作 世界最深度を実現しスクエア型ケースでメゾンの新時代を拓く

 

 

デザインと機構とでチャレンジ精神を発揮

 

 ジンとの協力関係にあった最初期の時代、ベル&ロスはプロ用を志向し、ハイスペックを目指した。そしてジンから離れ、独自に時計制作を始めてからは、多様性を育んでいく。ハイスペックの代表は、「ハイドロマックス」。そして多様性を象徴するのが「ヴィンテージ 123」(現在のBR V系)と「BR 01」である。現代に続く丸型とスクエア型のコレクションは、機構とデザインとで多彩な表現が成されてきた。各時代の代表作は、メゾンのチャレンジを表す。

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ヴィンテージ 123(ヴィンテージ ワンツースリー)

2針+スモールセコンドのレトロな雰囲気とミリタリー時計の優れた視認性を併せ持つ。そのお洒落な外観で大ヒットし、今のBR V系に繋がる丸型シリーズは、1997年に誕生。

 

 

 ヴィンテージ 123に盛り込まれたデザインの方法論は今見ても斬新だ。2ピースケースは50年代のミリタリーウォッチを思わせる、生産性を考慮したであろう造形を持っていたが、ベゼルはドレスウォッチを思わせるほど細く絞られた。そのデザインは、現行のミリタリー風ウォッチを先取りしていたと言える。

 

 

 

BR 01-92 ダッシュボードクロックを彷彿させるBRシリーズの原点

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BRシリーズのデザインモチーフとなった航空計器。中央上には、ベル&ロスのコックピットクロックが見える。

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2005年初出。現行のBR 01-92 カーボンと全く同じだが、これが第一世代である。

 

 

 四隅がビス留めされたスクエア型ケースは発表当時、時計業界に強烈なインパクトを与えた。その大胆さに世界有名デザイナーのラルフ・ローレン氏が一目惚れしたのは最も知られている。ミリタリー風の味付けを好むラルフ・ローレンは愛用しただけでなく、広告ビジュアルにも多用された。こうしてベル&ロスの名はファッション界にも鳴り響いた。

 

 

 

 

 

ベル&ロスのデザイン 無駄を削ぎ落としてシンプルに表現し究極の機能美を志す

 

 

アイデアの源泉までも自らでデザインする

 

 「すべてのディテールには、意味と機能がなくてはならない」。ベラミッシュ氏は、インタビューで度々この言葉を口にする。すなわち彼は、常に機能美を追求しているのである。故に、不要なディテールを削ぎ、可能な限りシンプルな表現を心掛けている。その完成形の一つがメゾンのアイコン「BR 01」。正方形と円とを組み合わせたフォルムはシンプルを極め、ダイヤルは視認性に優れている。

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BR 01のスケッチ。四角と丸を重ねたデザインは、クロノグラフのケースサイドにまで行き渡り、長方形のプッシュボタンと丸いリューズが居並ぶ。ケース幅ギリギリまで広げた丸い開口部は、大きなダイヤルを構成し、そこに大型の針とインデックスを置くことで視認性を高めた。最初期のモデルはラグを別パーツでビス留めしていた。 

 

 

 

 彼はデザインにおけるポイントをいくつか挙げている。ひとつはケースサイズに比して極端に太いストラップ。「当初から機能性の意味において、ストラップは手首にしっかりと固定されるべき、という基準がありました。安全のためシートベルトみたいな概念ですね。しかし時計を使っているプロフェッショナルからも、ストラップを太くして欲しいという要望はありました」。

 

 ストラップが示すように、装着感への配慮は当時の基準をはるかに超えていた。ケースが2ピースで成形され、バックケースが限りなくフラットにされたのもその理由だ。

 

 

 

 加えてベラミッシュ氏は、オリジナルティと視認性にも配慮を加えた。一例が、寸足らずの針と、内側に寄ったインデックスである。仮にこれが軍用時計ならば、針はインデックスに対して完全にリーチしていたはず。しかし彼は、あえて針を短くすることを選んだ。

 

 「良好な視認性を保ちつつ、文字盤上は識別に優れていることを目指しました。例えば針は、インデックスと重なり合う部分において認識されやすいよう作りました。しかし同時にブランドとしての特徴、ビジュアルの特徴も尊重してもいます」。

 

 

 

 かつてないデザイン性と、ケース幅46mmというサイズに、時計としての使い勝手を高度に成立させたBR 01-92。以降ベル&ロスは、フランスのラグジュアリーウォッチを作る世界的な時計メーカーへと飛躍を遂げることになる。

 

 

 

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(左上)コックピットクロックとの繋がりを感じさせる極めて大きなインデックス。視認性に対する入念な配慮だ。

(右上)2ピースケースを持つBR 01-92。そのベゼルは、バックケースと一体化されたミドルケースに、4本のネジで固定されている。

(中) ケース側面。プレスではなく、切削を使うことにより、BRシリーズはかつてない造形を持つことに成功した。

(左下)ケースバック。フラットなバックケースは太いストラップと相まって非常に安定し、着用感が優れている。

(右下)別部品のラグ。ただし2006年発表のBR 03では、ラグとケースは一体成形されるようになった。

 

 

 

 

ベル&ロスと航空機 メゾンが志す機能美の最も優れた手本は航空機の計器にあり!

 

 

景気を腕に載せた航空時計の最終到達点

 

 高校時代からアビエーションの世界に魅了されてきたベラミッシュ氏が、航空時計のデザインを志向するのは、当然の帰結であろう。過去も、そして現行モデルにも、ベル&ロスには多彩なアビエーションウォッチを見つけることが出来る。その中には他社と同じく、航空機の進化とともに姿を変えていった、古い航空時計の歴史になぞったモデルも数多い。現行でいえば、「BR V2」コレクションがそれだ。

 

 

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ケースは反射を抑えるマット仕上げ。ダイヤルも回転ベゼルも、マットな黒に白い目盛りを置き、航空時計らしい視認性を得た。

自動巻き。41mm  SSブレス 36万円+税。 カーフストラップ 32万円+税。

 

 

 一方で、過去アビエーションウォッチではなく、航空機のコックピット計器をモチーフとしたモデルも、ベル&ロスは持つ。これまでも度々登場してきた「BR 01」である。四隅をビス留めした、巨大なスクエア型ケースは、まさにコックピットクロックをそのまま取り外したかのよう。そしてブラックのダイヤルに、白い蓄光塗料を施した大型の針とインデックスとがハッキリと浮かぶクリーンなデザインも、コックピット景気ゆずり。同じデザインは、「BR 03」や「BR S」にも受け継がれ、メゾンの象徴となった。

 

 

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2005年 BR 01 が登場し世界を驚かせた。2006年には人間工学に基づきサイズダウンしたBR03が発表された。

自動巻き。ケース42mm。ラバーストラップ 37万円+税

 

 

コックピット計器を腕に載せるという発想は、極めて大胆である。しかし、その優れた視認性は、多くのパイロットに愛され、実用性の高さを証明して見せた。大型ケースに対し、ベラミッシュ氏は、かなり幅広のストラップを与え、グローブの上でもガッチリと固定できる優れた装着感を叶えていたのも、パイロットに受け入れられた理由だ。

 

 コックピット計器という究極の機能美をモチーフとし、優れた装着感を与えたBR 01は、まさにアビエーションウォッチの完成形。高校時代の憧れを、ベラミッシュ氏は見事に形にした。

 

 

 

 

 

 

 

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BR 03-92 BLACK STEEL

 

 

 

 

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問合せ先

 

店舗:スリークBP

電話番号:025.249.0130

アドレス:bandai@threec.jp

 

 

 

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