オメガ スピードマスタープロフェッショナルの魅力に迫る
こんにちは。
スリークの飯田です。
本日は時計界においては既に伝統あるモデルの1つになっているコチラです。
スピードマスター プロフェッショナル
満を持しての登場のこの時計。
色々と考えに考えても自分の中で『最強クロノグラフ』はこの時計しかないのではないか?と思えてしまうのです。
もし、私が一番最初に買った機械式時計がこの時計だったら、どんなに良かっただろうか。。。と思えてしまいます。
なぜならば、凄く、凄く、すご~く欲しいのですが、
どこか心の中で『今さら・・・』と思ってしまい一歩踏み出せない何かがあるのです。
あまりにも有名なこの時計。
有名すぎて敬遠する人もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は私もその1人でした。
98年に人生初の機械式時計(BREITLINGクロノマット)を購入し、にわかに時計の知識が付いてくると、
一番最初に意識したのがこのスピードマスターでした。
当時、知識がほとんどない私としては、スピードマスターは色んな人が持っている時計。
しかも手巻きだし、風防もプラスチックで、過去から何も進化してない時計。
過去の栄光によりそっただけの時計、という偏見で見てしまっていました。
それは私自身のクロノマットがNO.1であって欲しいと思う、偏った価値観からの思い込みでもありました。
しかし、そこから10年もすれば知識も付くものです。
そして2008年にOMEGAを店舗で取り扱うようになり、一層とスピードマスターについて勉強。
するとどうでしょう。
その溢れんばかりの魅力の多さにめまいをしてしまいそうになったくらいです。笑
ではどこから魅力を書こうか・・・・
簡単に言うと、1960年代、NASAが公式の時計を採用するにあたって11項目にわたるテストを行い最後まで正常に作動していた時計。
そして公式採用され、月面着陸時にも着用されていましたし、
現在もなおNASAが唯一認めた宇宙空間での使用可能な時計です。
その伝説と、実際にNASAが公式に認定するレベルの実用度が魅力の時計。
個人的にグッとくる仕様は以下の点です。
■ 風防・・・ヘザライトガラス(強化プラスチック)を使用。現代腕時計の多くに使用されているサファイアガラスは傷が付きにくいが、割れてしまうと細かい破片となります。無重力状況下で割れてしまってはこの破片が危険です。一方プラスチックは傷付くが割れにくいし、細かい破片となって飛散もありません。また傷ついてもコンパウンドで傷をとることが出来るので利便性も高いです。
■ 手巻き・・・機械式時計の耐久性を考えた時、自動巻きより手巻きの方が良いはずです。なぜならムーブメントで一番大きくて重たいパーツは自動巻きのローター。それを1点で支えているわけで、おのずと衝撃にも弱い部分となるわけです。どのような分野でもそうですが、耐久性を上げる1つは簡素化させること。シンプルな構造の方が複雑なものより壊れにくいのです。
■ 軟鉄製インナーケース・・・この時計はムーブメントを軟鉄製のインナーケースで包んであります。よく耐磁時計と呼ばれるものに使われている仕様です。スピードマスターの場合、なぜか雑誌などでこの軟鉄製インナーケースを大きく取り上げられることは多くないですが、耐久性や精度を考えられた時計だというのがよくわかります。
■ 日付なし・・・日付表示がないのも良いです。一般的には日常使いとしては日付があったほうが便利なのかもしれないですが、余計な部品が無い方が故障するリスクも減ると考えたら私にとっては日付は必要ない機構です。
■ 抜群の視認性・・・針は白く塗られており、インデックスもアップライトではなくペイントになっています。昨今の時計ブランドのラグジュアリー化と相反し、実直に実用性を追い求めている感があって好きです。
以上のような部分以外にも『やるなぁ~』って思う箇所が色々あります。
■ 9時位置の秒針と、3時位置の30分計のダイヤルに書かれてある数字の位置です。30分計の方の数字がより内側に寄っていて、1分毎の目盛りが長くなっています。おそらく30分計の方の視認性を考慮しての仕様だと思います。
■ 外周目盛りの1分、1分の間の1/5秒目盛りが視認の邪魔になっていません。ちょっと言葉で説明するのは難しいですが、多くの時計は1分、1分の目盛りの間に1/5秒もしくは1/4秒刻みの目盛りがあります。個人的にこの目盛りは意味がないと思っていますし、見にくくなるので不要なものだと思っているのですが、スピードマスターの場合、その目盛りが外周の円枠のようなデザインになっているので、時間の読みとりが見にくくなっていないのです。
■ 左右非対称なケース。これは有名な話ですが、NASAからの要望でリューズガードを付けることになり、ケースの形状が左右非対称となっています。しかも、素人のパッと見た目ではその非対称さがわからないようなデザインになっているのが素敵です。
ディテールだけを語って、
良さを述べていく、
同じような系統での私好みの仕様は他のブランドにもあります。
Sinnなんかもそうです。
しかし、このスピードマスターが他の時計とは一線を画し、
私の心をギュッと鷲づかみにするのはやはり、
その歴史的な背景、伝説も大きい理由だと思います。
そもそも、宇宙好きの私としてはNASAの一連の計画に使用されていたというストーリーも重要です。
1961年のマーキュリー計画からジェミニ計画、
そしてアポロ計画へと進み1969年に人類初の月面着陸。
この9年間でのアメリカの宇宙開発の進歩のスピードはすさまじいものがあります。
そして誰も体験したことのない月面へと降り立った時に身につけられていた時計。
その後もアポロ13号での事故で無事に隊員達が地球へ帰還できたのも、スピードマスターのおかげ。
これらの宇宙関連に関するスピードマスターのストーリーを語り始めたらさらにキリが無くなってしまうくらいです。
ちなみに現行のスピードマスターは6thモデルである。
1957年 針がブロードアローの1stモデルが誕生。ムーブメントはCal.321
1959年 針がアルファハンドに変更になった2ndモデルが誕生
1963年 針がペンシル型に変更した3rdモデルが誕生
1963年 NASAの意見を元にリューズガード付きへ変更。4thモデル
1968年 ムーブメントが Cal.861へ変更。5thモデル
1997年 ムーブメントがCal.1861へ変更。現行モデル
ムーブメントの違いで言うと、
Cal.321もCal.861もCal.1861もすべてレマニア製であり、
基本設計もそんなに差はないです。
Cal.321がコラムホイールでチラネジを採用していたのに対してCal.861はカム式に代わり、
チラネジも使わず簡素化されました。
そしてCal.1861に関して言えば、
861のメッキ処理がロジウムになったなどの違いで基本的には変わっていないです。
ムーブメントを抜かしたスペックやディテール的なことで言ったらリューズガード付きになった1963年4thモデルから現在に至るまでスピードマスターは変わっていないのです。
他のブランドでも50年間継続している定番モデルなどは色々とありますが、
50年前のモデルと現行のモデルを比較すると、
ムーブメントが手巻きから自動巻きへ変更になっていたり、
風防がアクリルからサファイアへ変更になっていたり、
デザインもアイデンティティーは保ちながらも変更になっていたりするものなどがほとんどです。
いや、むしろここまで永らく変化のない時計はスピードマスターくらいではないでしょうか。
そしてスピードマスターは変化しないのではなく変化できないのです。
なぜなら実用性を追求したある種の究極のカタチであるからです。
以上のように魅力に溢れるスピードマスターですが、
私が気になる点をあえて上げるとすれば
インダイヤルの針の形状を秒針とクロノグラフ系の針とでは形状を変更して欲しかったという点。
これは昔のミリタリーウオッチなどではよくある仕様ですが、誤認を防ぐ為に針の形状を変えているのです。
あとは短針と長針の夜光の形状を変えて欲しいです。
これも夜間での誤認を防ぐために、
ミリタリーウオッチやスポーツウオッチにはそのような仕様になっているものがあります。
以上のような点があります。
しかし、もし私の言うような仕様に変更になってしまったら、
それはここまで伝統を受け継いできている『スピードマスター』とは別物の存在になってしまうような気がします。
だから変更はして欲しくないです。ま、今の状態でも誤認なんてしないくらい抜群の視認性の良さであるわけですしね。
このスピードマスター。。。。
昔は29万円くらいで販売されており、入門機として買った人も多いと思います。
その値段のせいで、そこまで大したことのない時計だと思って、今は放置した状態になっていたり、他の時計を愛用したりしている人もいるかもしれません。
しかし、この時計は入門機なんかではない。
むしろ通好みの玄人時計です。持っている方は是非とも大切にしてもらいたいです。
あぁ・・・私も非常に欲しいです。。。。
オメガのスピードマスターはコチラ
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