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TEXT:スリークBP 竹谷

 第一話：形は機能に従う

 

「万物は流転する」

 

これは古代ギリシャの哲学者ヘラクレイトスの思想を表した有名な言葉であるが、

ご存知の通り意味は、「この世にあるすべてのものは、常に移り変わるということ」

すべてのものは常に形を変えて進化し、すべての形には意味があるのである。

 

 

なぜチーターは速く走れるのか？

 

チーターといえば、世界最速の生物。

走って2秒後には時速72キロにもなり、

最高時速は120キロ。

それでいて止まるときは

ピタッと瞬間に止まることが出来る。

驚異のスピード、加速、ブレーキ力の持ち主である。

 

 

 

 

そのメカニズムは、

頭は小さく風の抵抗を受けず、

筋肉の塊であるその全身を

バネのようにして動かし、

爪はスパイクのような役割を果たす。

 

まさに速く走るための体なのである。

 

『速く走る』ために

無駄の一切ない、

流線形の体に進化したのである。

 

「形は機能に従う」

 

それは腕時計も同じ。

 

 

 

腕時計が主流になる以前、

世の中にはアクセサリーのような位置づけの懐中時計しか存在しなかった。

 

これは時間を知るためにポケットから取り出して確認する必要があり、

機敏性や迅速性を要求される軍隊では不向きであった。

 

この軍隊での需要が腕時計の大きな発展の契機の1つでもある。

 

ミッションを遂行するために必要な、

「機能性」「信頼性」「視認性」「高精度」

を追求していった物こそ、本来の腕時計である。

 

 

ベル＆ロスの時計は、

「形は機能に従う」を最大の目標に掲げ、

「機能性」「信頼性」「視認性」「高精度」

この4つのデザイン哲学を基準にあらゆる機能が最適化され、

時計の本質を最優先した設計がなされている。

 

 

BR 01-92 STEEL

510,000円＋税

 

2005年に発表されたBR01シリーズ。

ベル＆ロスのアイコニックピースであるが、

フランス国家警察特殊介入部隊『RAID』

に採用されている。

 

 

『RAID』といえば、

フランスにおいて、

他の部隊よりも手厚い予算措置が組まれる。

 

つまり、

国家警察の最精鋭部隊なのである。

 

 

 

信頼性の高さが伺えるベル＆ロスの時計。

代表モデルであるBR01シリーズの最大の特徴は、

「航空計器をそのまま腕時計にした」デザイン。

 

 

 

航空計器は、

JIS規格だけでなく、

MIL規格、AS規格、TSO規格なども用いられ、

厳格な試験をクリアしなければならない。

 

過酷な環境下でも充分な信頼性が要求されるのである。

 

 

機能を追及していった結果生まれたデザインこそ、

航空計器であり、

BR01シリーズなのである。

 

BR 03-92 STEEL

420,000円＋tax

 

BR01シリーズ誕生から１年後の2006年。

ブランドNo.1人気モデルBR03シリーズの誕生。

 

違いは、

BR01は直径46mmで日付無し。

BR03は直径42mmで日付有り。

 

BR01はベル＆ロスのコンセプトが表現されたプロユース仕様に対して、

BR03は現実的な装着感と機能性を備えたモデルとして評価を得ている 。

 

 

 

 （左：BR03　右：BR01）

 

4mmの違いは大きく、

BR01,BR03,

そのどちらが瞬間的に心に強烈なインパクトを与えるかは

 

装着者にしかわからない。

 

どちらの大きさであれ

大ぶりでありながら薄く、

時計自体の重心が低いことと、

その体躯を支えるベルトが幅広で腕への重量が分散されるからこそ、

 

装着感が高いのは変わりない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すべてにおいて計算され、

機能美を追求していった結果生まれた洗練されたデザイン。

 

BRシリーズは、

そのデザイン性がフューチャーされがちだが、

奇をてらった個性的な時計で決してなく、

腕時計の本質ともいうべき機能性を追及した時計なのである。

 

次回へと続く。