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【名作タグ・ホイヤー】vol.7~ムーブメントのお話~

2018.04.13

スリークBP

スリークの飯田です。

 

本日はタグ・ホイヤーの

自社ムーブメントについて書いていきたいと思います。

少しでもわかりやすくお伝えできたら・・・と思っています。

 

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①キャリバー1887

 

タグ・ホイヤーが初の自社ムーブメントを発表したのが2010年

 

創業150周年の節目でした。

 

そのムーブメントの名はキャリバー1887

 

 

 

ネットなどでセイコーの機械だと書かれていたりしていますが

 

正確なことを簡単にお伝えすると

 

セイコーの開発した6S系の設計をほぼそのまま転用し、色々な部品は合計22社(スイス系企業21社+セイコー)で調達し作っています。

なお、地板や受け、ローターなどの細かな部分で部品の形状は変更したりしています。つまり設計を利用しながらカスタムしていると言ったところです。

(マニアックに詳しく知りたい方はコチラ⇒Web Chronosを読んでいただけるとわかります。)

 

なぜ?セイコーから設計を使用する権利を取得したのか?

これには様々な要因があります。

 

 

◆自社ムーブメントの開発期間短縮

これは1つの大きな理由だったと思います。

もし、1から開発していくとなると2年~5年はかかったと思われます。

ETAからのムーブメント供給が少なくなっていく中(ETA2010年問題)で、供給を安定できる自社ムーブメントは

早く手掛けなければいけない事案だったはずです。

 

では、なぜセイコーの6S系だったのか?

 

 

◆スイングピニオン(振動ピニオン)を採用していたから

スイングピニオンとは創業者のエドワード・ホイヤーが1887年に特許を取得しているクロノグラフの伝達方式の1つです。

これはブランドを代表するムーブメントとしてタグ・ホイヤーとしてもうってつけだったはずです。

 

↑スイングピニオン

 

その他にも細かな理由としては

 

・ETA7750よりも薄い(そして丈夫で鑑賞にも耐えれる)

・コラムホイールを採用している

・量産にも向いている

・精度や信頼性もある

・巻き上げ効率が良い

 

などもあったと思われます。

 

おそらく多くの方で勘違いしている方もいると思うのですが

スイスブランドで『自社ムーブメント』と謳っていても開発まで自社で行っていないところもあります。

つまり他社開発・自社生産。

その多くは他社で開発されたことを公けにせずにいます。

1887の場合、もともとセイコー6S系を搭載した時計が市場に出ており、

タグ・ホイヤーはちゃんとセイコーと契約をして設計を使用しますとプレスリリースを流して発表したので

詳しく知らない方は『なんだよ、セイコーの機械かよー』と言う人もいるのです。

 

ちなみに、同じような件で言えば2017年にはブライトリングがチュードル(ロレックス)の機械(設計)を使用したモデルを出していますし、

チュードル(ロレックス)がブライトリングの機械(設計)を使用したモデルも出ています。

 

また、この自社ムーブメントという表現も曖昧というか分かりづらい部分はあるのですが

『自社開発』したムーブメントでも、その開発期間だけ、社外から開発チームを自社に招き入れ開発された機械だって多くあります。

 

他にも大きな資本グループだと、その中でムーブメントの開発・製造を行う会社があります。

例えばヴァル・フルリエ。ここはリシュモングループのムーブメント会社で、ここではパネライなど多くのリシュモングループのブランドが

自社ムーブメント開発を一緒に行っており、製造はヴァル・フルリエが行っています。

 

まぁ、何というのでしょうか。

個人的にはどこが開発したとか、どこが製造しているとか、あまりそこに執着する必要はないのかな、と。

みんな好きな時計、楽しい時計、良い時計を着けたいわけであって

ムーブメントの開発や製造がどこがどうってのは二の次なのではないでしょうか。

(もちろん、どこで開発したとか、どこが製造したとか言うことでのその製品の”信頼性”という点ではある種の指標にはなると思いますが)

 

話は戻しまして、タグ・ホイヤーの1887に関して言えば

料理で例えるとわかりやすいのではないでしょうか。

あるレストランの料理のレシピをもらったとします。

同じ料理を作ろうと思えば用意する材料は一緒。

でも、そのレストランから全部の材料を仕入れるわけではなく

使う野菜や肉などの多くは自分達で調達しているような感じでしょうか。

また、野菜や肉の切った大きさも違うだろうし、盛り付ける器も違えば、見た目も多少は違うでしょう。

 

ん?

逆に分かりづらくなりましたかね(-_-;)

 

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②キャリバー ホイヤー01

 

 

さて、そんなタグ・ホイヤーの1887ですが

その仕様を変更し、2015年に新たに発表されたのが

 

ホイヤー01です。

 

「Heuer01」の画像検索結果

 

 

このムーブメントは先述したキャリバー1887がベースとなっております。

ローターの形状を変えたり、コラムホイールを青から赤へ変更したりなど

チューンを施してあります。

 

基本は1887なので、

もちろんこちらもスイングピニオンを使用しています。

 

ここでスイングピニオンについてお話しいたします。

 

クロノグラフを作動させるには動力をクロノグラフ機構に伝える為の

『伝達方式』が3つあります。

①キャリングアーム

 

②スイングピニオン

 

③垂直クラッチ

 

「WATCH coupling clutch」の画像検索結果

↑これがキャリングアーム。

 

 

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↑ここにも書いてありますが

60年代くらいまでの手巻きのクロノグラフには多く採用されていました。

現行の時計ですと、ゼニスのエルプリメロやオメガの手巻きのスピードマスターなどは

このキャリングアームを採用しています。

クロノグラフを作動させるときの動きは見ていて楽しいです。

 

↑先ほども出てきましたがこちらがスイングピニオン。

 

 

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↑ここにも書いてある通り、ポイントは『省スペース』なのです。

 

 

ホイヤーがスイングピニオンの特許を取ったのが1887年。

しかし、1960年代までのクロノグラフの多くはキャリングアームを採用していました。

 

1960年代後半、ホイヤーとブライトリングらの連合軍が世界初の『自動巻きクロノグラフ ムーブメント』を開発していた際、

スイングピニオンを採用することにしたのです。

なぜならば、自動巻きのクロノグラフムーブメントがなかなか開発されなかったのはスペースの問題があったからです。

クロノグラフ機構に自動巻き機構を載せるのが当時は非常に困難でした。

 

 

そこで省スペース可能なスイングピニオンを採用し、1969年にキャリバー11が誕生したのです。

(ここら辺の詳しい歴史と流れはコチラ⇒http://www.threec.jp/magazine/47をご覧ください!)

 

その後、キャリバー11の進化形が現在最もポピュラーなクロノグラフムーブメント、バルジュー7750になります。

で、もちろんバルジュー7750もスイングピニオンを採用しているのです。

 

 

1887の部分にも記載しましたが

ホイヤーにとってスイングピニオンはある種のブランドを象徴する1つの機構でもあり

その機構を搭載した自社ムーブメントに『ホイヤー01』というネーミングを与えたのにも納得です。

 

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③キャリバー ホイヤー02

「HEUER02」の画像検索結果

ホイヤー01に続いて発表されたのが『ホイヤー02』。

 

もともとはCH80と名前で開発されていたムーブメントです。

 

世に出た最初のモデルは2016年にこのムーブメントにトゥールビヨン機構を搭載したモデル

 

カレラ ホイヤー02Tでした。

 

 

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カレラ キャリバーホイヤー02T

CAR5A8Y.FC6377

45㎜

100M防水

1,810,000円+tax

 

200万円以下のトゥールビヨンということで話題になったモデルです。

しかもクロノグラフを搭載しながらCOSC(クロノメーター)認定という精度も保証済み。

 

トゥールビヨンという機構は様々ある機械式時計の機構の中でも最も複雑と言われるものの1つ。

少し前まではウン千万円しないと買えないようなモデルばかりでした。

まぁ、難しい機構であるからこそ各ブランドもそれなりのハイクラスのモデルに手の込んだ装飾を施したりなどして作っていたので

高額になっていたという一面もあるのですが。

 

そんなトゥールビヨンを備えながらにして、日常使いしやすいトゥールビヨンモデル

このタグ・ホイヤーのトゥールビヨンです。防水性も100Mありますしね!

 

時計好きが憧れていた機構、でも高額な故に『いつかは・・・』とも簡単には思えなかった機構、

そのトゥールビヨンがこの価格で手に入るなんて素晴らしいですよね!

 

tagheuer-autavia-2017-00.jpg

そして、トゥールビヨン機構を持たないホイヤー02を搭載したモデルが2017年、オータヴィアとして登場しました。

 

こちらは前回もご紹介しましたので覚えてらっしゃる方も多いかと思います。

 

ホイヤー02のポイントを上げるとしたら

■80時間パワーリザーブ

■コラムホイール

■垂直クラッチ

です。

 

比較としてホイヤー01は?と言いますと

■50時間パワーリザーブ

■コラムホイール

■スイングピニオン

となります。

 

パワーリザーブ(ゼンマイを完全に巻き上げた状態で放置して何時間動くか)が30時間も違うのは大きな魅力の1つです。

多くの時計が40時間程度のパワーリザーブなのに対して、3日以上動くというのは

例えば連休で2日間時計を着けなかったとしても止まらないということです!

なんと素晴らしいことか。

 

また、今回の記事で何度も出てきているスイングピニオンではなく垂直クラッチというのもまた面白い!

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垂直クラッチの利点を挙げると

 

通常、クロノグラフ(ストップウオッチ)を作動させるとその分トルクを使うので(ふり角が落ちて)

時間の精度が落ちやすくなります。

 

しかし、垂直クラッチの場合、トルクロスが少ない為クロノグラフを作動させても精度が安定して出やすいのです。

 

また、他の機構の場合、クロノグラフを作動させると針飛びと言われる症状が出ることがあります。

これはクロノグラフの作動時に歯車と歯車が噛み合うタイミングで歯車同士のアガキ(あそび)がある為に起こるものです。

垂直クラッチの場合はそのようなことが起きないのです。

 

 

 

 

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④自社ムーブメントとは。

 

 

と、まぁ色々と書いてきましたが

何のことだかさっぱりという方も多いはずです。

 

スイングピニオンとか垂直クラッチとか言いましたが

実際に動いている姿を見ないと実感できないものだと思います。

 

 

 

↑これらのパーツが動いている姿が

下記の動画から見れます。

 

タグ・ホイヤーではなく、ブライトリングジャパンの林さんの解説ですが

 

5分30秒くらいから・・・垂直クラッチ

7分10秒くらいから・・・スイングピニオン

これくらいの時間帯で見れますので時間がない方は飛ばして見てみてください。

(でも、一度全部見ていただくこともおススメです。)

 

 

 

90年代後半から2000年初頭のころは『自社ムーブメント』というフレーズが非常にもてはやされていました。

 

でも、今では多くのブランドが自社ムーブメントを手掛けるようになり、以前ほどの希少性を感じなくはなりました。

 

当時のユーザー達が自社製を求めていたのはクォリティーや性能のUPではなく、オリジナリティだったのではないかなと最近感じています。

 

でも今では多くのブランドが手掛ける自社ムーブメントはクォリティーや性能のUPを目指しているように思えます。

 

それにより価格も高騰化していっているのが現状です。

 

クォリティーや性能のUPは喜ぶべきことではあるのですが、手に入れられない価格の物ではユーザーとしては辛いです。

 

その点ではタグ・ホイヤーの自社ムーブメントはよく考えられているなぁと思います。

 

比較的手に入れやすい価格で、メンテナンスなどのランニングコストも他社比較しても抑えてありますし、実用的な自社ムーブメントの時計が欲しいと思ってくださる方ならばタグ・ホイヤーの自社ムーブメント搭載機はおススメでございます!

 

自社ムーブメント「ホイヤー01」搭載モデルはコチラ

 

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