【パネライ・アベレナメント】Vol.6 ~パネライ復活プロジェクト④~
2018.10.13
スリーク新潟
こんにちは。スリーク新潟 高橋です。
「パネライアベレナメント」、本日はvol.6をお送りしていきます!
どうぞ!!
パネライ復活プロジェクト
~プロジェクトを動かした7人~
さて、6人まで紹介したプロジェクトを動かした人達。
タイトル通り7人いますので、今週は最後の1人をご紹介いたします。
7.アントニオ・カルチェ(Antonio Calce)
最後にプロジェクトに加わったのが、アントニオ・カルチェ氏だった。
アントニオ・カルチェ
Antonio Calce
リシュモングループのピアジェで製品開発を担当していた技術者だった。
実際に時計を製造する最適の責任者として、慎重に人選された人物である。
それまでピアジェの開発担当者だった彼が、コローニ氏らに会ったのが1997年6月だった。
『そこにあったのは1本の時計だけ。
ケースはどこで作るのか、搭載するムーブメントはどうするのか、すべて白紙の状態でした。
なのに、その年の11月までに新作を市場に出す、という計画を打ち明けられたのだから驚かないわけがないでしょう!
とくに、あの複雑なケース製造は難題中の難題でしたね』
カルチェ氏の語る通り、生産体制の構築がパネライ復活プロジェクトに残された最後にして、最大の課題だった。
持ち前の行動力で捜し当てたケース製造のスペシャリストを説得し、了解を取り付けたのが7月のこと。
以来、彼はミラノとスイスを奔走し、ついに期限ギリギリまでにイタリア限定で販売する計画だったルミノール1000本を完成させた。
それはまさに新生パネライの挑戦がスタートした瞬間でもあったのだ。
マリア・テレーザ・アベッティ・パネライ(Maria Teresa Abetti Panerai)
新生パネライ復活プロジェクト。
そのプロジェクトを動かした7人を3週に渡ってご紹介してきましたが
個人的には、この人もご紹介したい!!
という方です。
マリア・テレーザ・アベッティ・パネライ
Maria Teresa Abetti Panerai
ジュゼッペの妻で、夫亡き後オーナーとなっていた。
4代目、ジュゼッペの奥様です。
彼女がオーナー時にリシュモングループへ売却されたのです。
リシュモンへと移って、世界デビューをし、一躍世界的な時計ブランドへとなったパネライですが
彼女が架け橋になったからこそ今日のパネライがあると思います。
彼女が夫、ジュゼッペについて語ったのは
『いつも仕事ばかりしていました。むしろ仕事を楽しんでいたと言った方がいいかもしれませんね。
イタリア海軍の為に仕事をすることに本当に誇りを持っていたのです。
いつも色々なアイデアを沢山持っていました。私に解説するのが好きで、新しい発想や発見をよく話してくれました。
でも、どんな時でも何かを閃くとすぐに行動に移す人でした。そして何かを作りはじめ、その後何度も何度もテストを行い
問題が解決されるとまたテストを行い、自分が納得するまでそれを繰り返していました。
だからイタリア海軍もジュゼッペの仕事を大変信頼していました。ジュゼッペが納得した仕事なら間違いないって。
海軍には何か仕事をもらおうと色々なメーカーが来ていたようですが、結局問題を解決できず、最後はジュゼッペを頼ってくるのです。
潜水時計の時もそうでした。海軍は市販の時計で何とかしようと思っていたようですが、結局はジュゼッペを頼ってきました。
それからのジュゼッペは物凄い執念でした』
ジュゼッペ氏が開発した時計でイタリア海軍が大きな成功をおさめたことは知っていたのだろうか。
そんな質問に対して
『海軍から手紙を頂いたんです。パネライありがとう。あなたのおかげで成功しました、って。
ジュゼッペも私も従業員もみんな喜びました。大変誇りに思いました』
ジャン-マルク・ポントルエ(Jean-Marc Pontroué)
そして、復活プロジェクトを動かした人物ではありませんが
最後に、現在、そしてこれからのパネライを語る上で欠かせない人物をご紹介します。
ジャン-マルク・ポントルエ
Jean-Marc Pontroué
1964年、フランス・ナント生まれ。
ビジネススクールにて経営管理学を学んだ後、レザービジネスの世界でセールスマネージメントとして活躍。
1995年にLVMHグループに入社し、パリにてジバンシィのセールスディレクターに就任。
2000年にモンブランの商品戦略開発副社長に就任。
2011年よりジェネラル・マネージャーとしてロジェ・デュブイに入社。2012年よりロジェ・デュブイCEO。
2018年4月よりパネライCEOに就任。
前CEOのボナーティ氏が今年の3月に定年で勇退。
その後を4月に引き継いだポントルエ氏。
彼の評価がどうなるのか?まだ就任したばかりで、それはこれからですが
CEOが変わるとブランドの方向性が変わるのは常。
彼が今後どのように舵を取っていくか非常に興味深くあります。
今年はパネライが復活してちょうど20年。
30年~90年代までパネライ家が培ってきたパネライ
90年代以降リシュモンでボナーティ氏が牽引してきたパネライ
そのどちらも良いカタチで受け継ぎながら、また私たちをドキドキワクワクする世界へと導いて言って欲しいと願わずにはいられません。
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今日のパネライ
さて、そんな本日はこのモデルを紹介します。
ラジオミール1940 3デイズ オートマティック チタニオ
PAM00619
45㎜
100M防水
1,298,000円
以前もご紹介しましたが、1940ケースと呼ばれる1940年代に作られていたモデルのケース形状をなぞったモデル。
当初、パネライが復活したばかりの20年前は
◆ラジオミール=ワイヤーループのラグ+玉葱リューズ
◆ルミノール=太いラグ+リューズガード
という区分けでした。
永らくその区分けでモデル展開されていたのですが、2014年でしたっけ?
そのラジオミールとルミノールの合いの子のような1940ケースモデルが出てきたんですよね。
区分としてはラジオミールのシリーズに入ったのですが、このシリーズもまた独特の構成となってきています。
特筆箇所はムーブメント。
ムーブメントはマイクロローターを搭載したP.4000です。
昨今、他のブランドでもマイクロローターを搭載したモデルが増えてきましたね。
マイクロローターってのは自動巻きの振り子がムーブメント全体を覆うようなサイズではなく、上の写真のようなものを言います。
かつては
1969年にブライトリング、ホイヤーなどらと共同で作られた世界初の自動巻きクロノグラフムーブメント、『クロノマチック』に搭載されていたのは有名な話です。
さて、このマイクロローター。
なぜ、最近まで採用しているブランドが少なかったのでしょうか?
利点:ムーブメントの薄型化が図れる。クロノマチックに採用された理由もまさにその部分での理由が大きかった。
欠点:トルクが弱い。その為、複雑な機構を搭載するのには不適切である。
そのような利点と欠点があるなかで、技術の進歩と共にマイクロローターではなくともある程度の薄型化ができるようになったこと
また、デカ厚時計がブームになり、それほどまでの薄型が求められなくもなったこと
これらの理由によりマイクロローターを搭載したムーブメントは見かけなくなっていった。
しかし、新素材の開発やコンピューターの普及により精度の高い加工技術によるパーツ製作などが行われるようになり、弱いトルクでも十分に機能する機構を搭載できるようになってきました。
それに伴い、再度各社がマイクロローターに着目し始めています。
マイクロローターにすることで薄型化が図れるという意図はあると思います。
しかし、各社が最近になってマイクロローターを採用しているのはユーザーへ対してムーブメントの『新鮮さ』を与える為の手法ではないかな?と個人的には思っています。
パネライがどのような意図でP.4000を開発したかは分かりませんが現在ルミノールドゥエなどの薄型モデルを発表してきているのを見ると
薄型時計を作りたいという思いがあったのだと思います。
復活後のパネライはケースの進化・変化の歴史だったと思います。
パネライがパネライである為に正面から見た時のケースの印象は変わりませんでした。
しかし、その立体感や横から見た時の造形には幅広いバリエーションがあります。
そんなパネライだからこそ、薄型のケースを作るのに必要だったムーブメントなのだと思います。
話は少し脱線しましたが、
今日ご初回のこのPAM00619はチタンケースで、文字盤もブラウン。
SSケースモデルもあるのですが、このチタンケースでマットに仕上げた素材感。
そして、日焼けしたような文字盤の色合い。
それが凄く素敵なんです!!
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過去記事
PANERAI avvelenamento Vol.1~パネライの歴史①~
PANERAI avvelenamento Vol.2~パネライの歴史②~
PANERAI avvelenamento Vol.5 ~パネライ復活プロジェクト③~
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