復刻してほしい時計~TAG Heuer~
2026.09.05
タグ・ホイヤー仙台、スリークEXPOCITY、スリーク富士見、スリークBP
【HEUER MONZA】
時計には
復刻してほしい時計は数多くある。
けれど、その理由がスペックや希少性だけでは語れないモデルとなると、私はモンツァを挙げたくなる。
1969年、ホイヤーは世界初の自動巻クロノグラフを世に送り出し、同時にモータースポーツとの関係を大きく変えていった。
ジョー・シフェールのロータスに刻まれたホイヤーのロゴ。
フェラーリとのパートナーシップ。
そしてサーキットで戦うチームを支えた計時機器。

ホイヤーは単なるスポンサーではなかった。
勝利を測るための時間を作り、
チームと同じ緊張感の中で戦う存在だった。

そして1975年。
ニキ・ラウダとフェラーリは世界の頂点へ辿り着く。
マシンは312T。
赤いボディは誰よりも速く、
誰よりも美しかった。

その歴史的なシーズンを讃えるために誕生したのが「モンツァ」だった。
だからモンツァには特別な空気がある。
レーシングウォッチは数多く存在する。
だがモンツァはレースをモチーフにした時計ではない。
勝利そのものを記念した時計だ。
そこが決定的に違う。
ケースの形も、
黒を基調とした精悍な表情も、
すべてが1970年代の熱気を今に伝えている。
現代の時計は性能も精度も素晴らしい。

けれど、ときどき思う。
人は時計を買うのではなく、
その背景にある物語を買っているのではないかと。
もしモンツァが当時の空気感をそのままに復刻されたなら。
それは単なる新作発表ではない。
フェラーリが頂点に立った歓喜も、
ピットレーンに漂う緊張感も、
ホイヤーがモータースポーツと共に駆け抜けた誇りも。
すべてを腕元で感じられる一本になるはずだ。
復刻してほしい時計はたくさんある。
でも本当に復刻してほしいのは時計ではない。
その時計が生まれた時代の熱狂なのかもしれない。
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